――「小児療育」について考える――
■11人に1人
落ち着きがない、周りとうまくなじめない、そんな悩みを持つ子ども達。彼らの支援において重要なカギを握るのが「小児療育」です。公立神崎総合病院にある「ケアステーションかんざき」では、現在0歳〜15歳までの子どもたち、約110人がさまざまな体験を通して小児療育を受けています。こういった施設は日本全国で1万か所以上あると言われ、毎年増え続けています。昨年、文部科学省が発表した調査によると、全国の公立小・中学校の通常学級に在籍している児童・生徒のうち、8.8%が学習面または対人関係などの行動面に困難を示しているということが分かりました。実に11人に1人が発達障害の可能性があり、グレーゾーンにいると大きな話題になりました。
■小規模だから出来ること
小さい田舎の医療機関の中にあるケアステーションかんざき。小規模だからこそ出来ることを大切にしています。設立時の子どもの健康管理について、母子手帳交付時から幼稚園卒業までは母子保健法に基づき保健師がその役割を担い、小学校入学後は学校保健安全法に基づき養護教諭が行っていました。当時は保健師がサポートしてきた子どもたちについて、保健師から養護教諭へ生活の様子やその特徴などを継続的に引継ぐ仕組みがなく、小児療育を行う上での大きな問題の一つとなっていました。そこで、ケアステーションかんざきでは、子ども達への一貫した支援を実現するため、行政と教育機関との連携を密に行えるよう、サポートを行ってきました。今では保健師も学校に自由に出入りし、小学校や中学校はもちろん、幼稚園や保育園など関連する郡内の教育機関と当たり前のように連携を取っています。何かあればすぐに現場に向かい、みんなで解決策を探ります。子どもの力をより発揮できるよう、学校の先生とともにカンファレンスを開くことで、その子の行動や感情についてはもちろん、教育機関の環境についても検討します。
■人生の最後まで
療育終了後も安心して暮らし続けて欲しいと思う気持ちはご両親と同じ。順調に人生を歩んでほしいと願っていても、時にはトラブルに遭って悩み、引きこもってしまう事もあるかもしれません。だからこそどんな時でも相談を受けます。これを実現するには、後任の職員にも人生の最後まで相談を受ける施設であるという事を伝え、しっかりと引き継いでいくことが大切です。せっかく療育をお互いに頑張ってきた仲間。社会に出て行ってもいつまでも元気で生活して欲しい。そんな願いからケアステーションかんざきの活動が広がっていきました。
私には小さな子どもがいないから…うちの子に限っては無縁の話かな…と思われた方がほとんどかもしれません。しかし「子どもと向き合う」のはご両親だけではありません。ご近所をはじめ地域の皆さまとの出会いや関わりも、子ども達の成長にはとても大切なこと。今月の特集は「小児療育」です。みんなで一緒に考えてみませんか。
問合せ:ケアステーションかんざき
【電話】32-1910
■12月3日~9日は「障害者週間」です
障がい者があらゆる分野の活動に参加することを促進するために『障害者基本法』により設けられています。障がいのあるないに関わらず誰もがともに支え合い、暮らせるまちにするためには互いの人権と個性を尊重し、支え合うことが大切です。
■知っていますか?ヘルプマーク
義足や人工関節を使用している人、内部障害や難病の人、妊娠初期の人など、援助や配慮を必要としている人が持つマークです。兵庫県のほかに、健康福祉課でも発行しています。
問合せ:健康福祉課
【電話】32-2421
■障害者差別解消法が改正されました
令和3年5月に障害者差別解消法が改正され、令和6年4月1日から、事業所による障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化されます。
これまでの民間の事業者の「努力義務」とされていた合理的配慮の提供が、国や地方公共団体などと同様に「義務」とされます。支援を必要としている人がいる時、どうすれば良いのかみんなで考えてみませんか?
改正内容については、内閣府HPをご確認ください。
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