■コウノトリの巣立ち
皆さんに豊岡の自然を身近に感じてもらうため、豊岡らしい季節の事柄を紹介します。
◇コウノトリの巣立ちの季節を迎えています
コウノトリは、3月に産卵し、1カ月の抱卵(ほうらん)期間を経てヒナが孵化(ふか)します。ヒナの数は2~3羽が多いですが、豊岡盆地内の赤石巣塔や福田巣塔では4羽育てた実績があります。
◇ヒナの食事
親鳥は交代で巣に餌を運びます。ヒナが育つ4月から6月の水田にはオタマジャクシやカエルなど、たくさんの生きものが湧き出ます。そんな餌生物(じせいぶつ)をおなかいっぱい食べた親鳥が巣に戻ると、待ち構えていたヒナは「ジュージュー」と濁った声をしきりに出し、親鳥のくちばしをつついて餌をねだります。親鳥の胃の中から吐き出された餌をヒナたちが一斉に食べます。
◇親鳥のように大きく
ヒナが育つにつれ、餌生物は水生昆虫やオタマジャクシから、カエルやフナなど大きなものへ変わっていきます。孵化から1カ月半経ったころ、ヒナの足環付けが行われます。孵化からおよそ2カ月後の6月、親鳥と同じ大きさまで育ったヒナはいよいよ巣立ちの時を迎えます。
◇いざ、巣立ちの時
風の強く吹く日には、風上に向かって翼を広げ、羽ばたきを繰り返しながら、飛ぶという感覚を身に付けていきます。ジャンプの高さはやがて2mを越え、あるとき突然、勇気を振り絞って高さ13mの巣塔の上から空に飛び出します。空を羽ばたき、巣の周りを旋回飛行し、初めて大地に降り立った時、巣立ちが終了します。
写真・文:NPO法人コウノトリ市民研究所 高橋信
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