本町では「ふるさとに学び夢や志を抱きふるさと香美を大切にする人づくり」をテーマに、ふるさと香美の将来を担う人材を育成し、活力あるまちづくりを進めるために、ふるさとのよさを生かすことのできる人材育成に取り組んでいます。
このような「ふるさと教育」の推進を図るなか、去る11月12日、村岡小学校体育館で「第17回香美町ふるさと教育交流会~香美町青少年育成町民集会・子どもたちへのふるさと学習体験発表会・PTCAフォーラム~」を開催しました。この交流会は、町内の教育関係者をはじめとした青少年育成に携わる人たちが一堂に会し、町内各地で取り組まれている「ふるさと教育」や「青少年育成活動」を実践した成果について共有し理解を深めるとともに、「ふるさと教育」のあり方について学びの輪を広げ、地域全体で子どもを育てる環境づくりの推進を図ることを目的としています。
■講演
○オンリーワンの黒毛和牛“但馬牛”
講師:但馬牛博物館 副館長 野田昌伸さん
新温泉町にある兵庫県立但馬牛博物館の副館長を務める野田昌伸さんによる講演が行われ、但馬牛博物館の紹介VTRを利用して「但馬うし」「但馬ぎゅう」「神戸ビーフ」の違いや定義、特徴などを丁寧に説明されました。また、今年7月に世界農業遺産に認定された「人と共生する美方地域の伝統的但馬牛飼育システム」にも関わる、かつて人と牛が1つ屋根の下で共に生活してきた暮らしや、「牛籍簿」を整備し全国の和牛改良の先頭に立ってきた歴史なども解説されました。
参加者からも、但馬牛や美方地域が他の産地へ与えた影響や神戸ビーフを扱うお店などについて積極的に質問があり、ふるさとの特産や歴史に理解を深めました。
■実践発表
○ガイド活動を通じて学んだこと
小代ガイドクラブ 会長 稲尾孝さん
小代ガイドクラブは、小代を訪れる人に景観や但馬牛、歴史文化などを知っていただくことを目的に平成27年に発足しました。「和牛の聖地を巡るツアー」「小代の絶景を巡るツアー」の2つを基本的なガイドツアーとして設定してガイドを実施しているほか、ガイドスポットの環境保全や他地域の視察研修も行っています。
ガイドを行うなかで「地元住民にとって当たり前のことがお客様にとっては特別」と「田舎には何もないのではなく、魅力や強みに気付いていないだけ」ということを大きく実感しました。ふるさと教育に力を入れていただいていることもあってか、今では地元に戻ってくる若者が、昔に比べて増加したような印象があります。
今後の課題としては、長く活動していくため新たに若いガイドの養成が急務と感じています。小代に愛着を持った誠実な人であれば、どなたでもウェルカムです!
○昭和11年節分大遭難悲話
柴山地区公民館 館長 和田耕治さん
今から87年前、昭和11年2月4日に、兵庫県有史上最大最悪の大遭難事故が発生しました。但馬全体で73人の尊い命が一瞬にして海魔の犠牲になってしまいました。
松葉がにの漁場といえば隠岐島近海で、同島の西郷港は北西の風の影響を受けない天然の漁港です。柴山船団は束の間の晴れ間にここを出港したものと思われますが、今でいう爆弾低気圧の通過により、35人もの柴山の若者の命が失われてしまいました。2月9日には当時の柴山小学校を斎場として合同葬儀が営まれましたが、参列した人の話によると、残された家族の泣き叫ぶ声が響き、この世の地獄絵を見る思いだったそうです。
このような数えきれないほどの悲しい出来事の上に今日の水産業が成り立っていることを忘れないでください。現在の水産業は全国的に後継者不足に悩まされていますが、時代の若い力は確実に育っています。
○“豊かなもりづくり”を通して
やまもり村岡 会長 上田治さん
やまもり村岡は、「但馬みどりの回廊計画」(但馬県民局)の策定をきっかけに、6年前に蘇武岳を中心に活動していた団体と関係機関が集まり発足しました。現在の会員は17人で、活動エリアは瀞川-鉢伏-妙見-蘇武-白菅の村岡を囲む山岳エリアです。
会名の「やまもり」には2つの意味を持たせています。1つ目は「山盛り」=盛りだくさんの活動ということで、体験で得た山の魅力を広めていくため、実在の家族をモデルにした漫画の発行や、生涯学習課の協力でそれぞれの山岳を巡る「山岳縦走ルート2day登山」を実施しています。2つ目は「山守り」=豊かな森づくりの活動で、ただ守るだけではなく豊かな森をつくろうと考え、ブナ林のマップの作成や植林活動を続けています。
今後も、多様な年齢層の人たちが参加できるような活動を行っていきます。その中で自然の価値を再認識していただき、後世まで豊かな森が継続されることを願っています。
■ふるさと給食取組展・試食会を実施しました!
同日に「ふるさと給食試食展」と「ふるさと給食試食会」を実施しました。
魚食普及を目的とした産官学連携事業のイベントやふるさと給食への取り組みを紹介するとともに、村岡高校生が考案した、地元食材をふんだんに使った給食が提供されました。まろやかな「さつまいものポタージュ」や但馬牛ミンチを使用した「ミートグラタン」が特に人気でした。
広報1月号の「香美町ならではの教育の挑戦」で詳しく紹介予定です!
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