◆見て、食べて、楽しんでもらえたら「奥土農場石窯パン工房」
今年で開業25年目を迎えた「奥土農場石窯パン工房」。自家栽培の麦類と、天然酵母で作られた生地を手作りの薪窯で香ばしく焼き上げるパンは、町民はもちろん、全国・海外のお客さんからも愛され続けています。
神戸から北海道へ移住してきた奥土さんご夫婦が、生活のためにとうもろこしや小麦などの農作物栽培を始めたのをきっかけとしてパン作りをスタート。奥土農場石窯パン工房が開業されました。
お店を始めた当初からお手伝いをしていたという娘の雅代さん。
「小さいころから、私たち家族を育てるために毎日懸命に働く両親の背中を見てきたので、少しでも支えになれたらと思い、一緒にお店を切り盛りしていこうと決めました」と話します。
◇自分たちで一から種を植え、育て、収穫し、パンに加工
毎朝3時から始まるパンの仕込み作業。
ライ麦や小麦、とうもろこし、かぼちゃなど、パンの素材はできるだけ自家栽培のものを使用しています。また、酵母は、ライ麦やぶどうなどから起こした天然酵母を使うことで、「安心安全に食べられるパン作り」にこだわっています。そして、手作りの薪窯でしっかり焼き込むことで、香ばしさが引き立つように仕上げています。
このように手間暇かけて作られたパンは、「噛めば噛むほどうまみが出てくる優しい味」とお客さんからも好評だそうです。
「雑味がなく素朴な味わいなので、そのまま食べてもおいしいし、おかずに合わせて食べるのもおすすめ。自分の好きな食べ方で自由に食べられるのが魅力です」
最後に、雅代さんは力強く話してくれました。
「これからもこの味を守っていきたいです。20年以上前から絶やすことなく継いできたライ麦の種を大切にし、素朴な味を楽しんでもらえるパンを作り続けていきます」
奥土さんご夫婦が掲載された広報ニセコはこちらから
(平成14年6月号 15ページ)
※本紙をご覧ください。
◆失敗を恐れず、さらなる高みを目指して「ニセコチーズ工房」
約25種類のチーズを製造し、世界的なチーズコンテストで輝かしい成績を残し続けている「ニセコチーズ工房」。店内には、種類豊富なチーズとセレクトされた北海道のワインなどが並び、併設されたカフェでは、チーズやカマンベールソフトクリームなどを楽しむことができます。
ニセコチーズ工房がオープンしたのは2003年。セカンドキャリアとしてチーズ作りを選んだ先代の孝志さんによって開業されました。工房を始めた当初から多くのお客さんが来店し、生産が追いつかない状態に。そこで息子の裕志さんに、誘いの声がかかりました。
「父が始めたチーズ工房はずっと続くわけがないと思っていたので、最初は誘いを断っていました。でも誘われ続けて3年ほど経っても、経営は順調に進んでいたんです」と当時を振り返ります。
「当時は僕も食品関係の仕事をしていたのですが、自分が作ったものを自信をもって提供できるというのはいいなと思い、お店を引き継ぐことに決めました」
◇常に高みを目指すチーズ作りとは
ニセコチーズ工房では、乳酸菌を自己流にブレンドしています。チーズ作りの基本として、乳酸菌は輸入品を使用することが多く、チーズの種類によっておおよその乳酸菌のレシピや配合は決まっていますが、それをあえて崩し、いろいろなチーズに組み合わせています。そうすることで、自分たちの作りたい味や、放牧乳でしか出せない味にも負けない深みを出しています。
「こだわりがないのがこだわりです。こだわりを持ってしまうと、その軸から外れられなくなると思っているので、あえて持たない。常に柔軟でいられるよう心がけています」
高みを目指し、失敗を恐れず改良を続ける裕志さん。これほどまでに裕志さんを突き動かすのは、「おいしいチーズを作りたい」、その強い志があるからだといえます。
◇次世代へつなぐために
イタリアでの研修経験や先輩からの指導のもと、チーズ作りの知識と奥深さを追求してきた裕志さん。
「僕が上の世代から教えてもらったように、下の世代に自分の技術を教えています。これまで学んできたチーズ作りの知識には自信があるので、これからは次世代がどんどん学べるような環境を作っていきたいです」
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