■環境省資料「第48回自然環境部会 報告」に見る日高山脈襟裳十勝国立公園のこれから
◇国立公園化への経緯
昭和56年国定公園に指定された「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域」は、平成22年、国立・国定公園総点検事業において国立公園新規指定又は国定公園の大規模拡張候補地に選定され、再び注目を集めました。
その後自然環境等の調査を経て、
・令和元年 関係市町村長による「国立公園指定要望書」提出
・令和2年 国立公園の新規指定に向けた調整を開始
・令和4年6月 中央環境審議会自然環境部会による、村の札内川園地を含む現地視察
・令和5年 翌年中の国立公園指定を発表。パブリックコメントの募集
と続き、今年5月、中央環境審議会においての指定等案諮問・答申、公園計画が了承され、6月25日国内最大の国立公園の誕生となりました。
◇国立公園とは?保護や規制は厳しくなるの?
環境省による国立公園の定義は、「日本を代表する優れた自然の風景地を保護するために開発等の人為を制限するとともに、風景の観賞などの支援に親しむ利用がしやすいように、必要な情報の提供や利用施設を整備しているところであり、環境大臣が自然公園法に基づき指定し、国が直接管理する自然公園」とされています。
第48回自然環境部会で報告された資料の保護規制計画によると、日高山脈の主稜線部が「風致を維持」するための特別保護地区に指定され、隣接する地域を第1種特別地域、人の営為の影響がほとんど見られない地域と指定されています。
国定公園になって以降、村の中では「札内川園地より上は保護地域」という認識があったそうですが、この資料によると、園地一帯は人の活動が行われていても「風致の維持」に影響を及ぼす恐れが少ない地域、第3種特別地域に指定されています。
私たちが週末、レジャーやイベントで頻繁に訪れる憩いの場、札内川園地が国立公園の一部となったことは、一人ひとりが環境を守る責任を担うと同時に、日常的に「国を代表するに足る傑出した自然の風景」の中で自然と触れ合う機会に恵まれた村民として、喜ばしいことではないでしょうか。
◇公園計画の利用基本方針
前出の資料の「公園計画の基本方針(利用)」には、日高山脈主稜線一帯は「難易度の高い登山形態」との記載があり、山麓部での自然探勝や展望利用が主な利用形態と推奨されています。
確かに、村に登山口を持ち登山家に人気の高いカムイエクウチカウシ山は、日本二百名山の中でも難関と評される険しい山ですが、利用施設計画の中に園地のキャンプ場や山岳センター等の記載もあり、中札内村は、来訪者として想定される熟練登山家、自然体験を求める一般の来訪者それぞれに対応できる日高山脈の玄関口として、高い価値を持っている場所とも言えるでしょう。
日高山脈が国立公園になり、ますます中札内村に内外からの注目が集まることになりそうです。
次の世代も私たちと同じ感動を味わい楽しむことが出来るように、この優れた自然を守り、後世に伝えていくことを目的としている国立公園。
村の歴史を私たちとともに歩み見慣れたふるさとの山並みは、ここから、世界も注目することになる日本最大のナショナルパークへと新たな一歩を踏み出そうとしています。
■この夏!!国立公園化記念イベントに参加してふるさとの山、日高山脈をお祝いしよう!
◇日高山脈襟裳十勝国立公園指定記念
8/9(金)山の日講演会
仮題:日高山脈主稜線全山縦走 再挑戦への道
講師:北海道大学 山の会 中川 凌佑(りょうすけ)氏
日時:令和6年8月9日(金) 19:00~20:30(開場18:30)
場所:中札内文化創造センター ハーモニーホール
入場:無料、事前予約不要
主催:中札内村日高山脈国立公園化PR事業実行委員会
協力:北海道大学山の会、北海道大学山岳部
■中札内文化創造センターで特別な1か月
8月1日(木)~31日(土)
日高山脈襟裳十勝国立公園指定記念月間とし、中札内文化創造センターを日高山脈関連の展示物でいっぱいにします。北海道大学山岳部の写真や、環境省のパネルなど盛り沢山。図書館には、山関係の書籍を集めた特設コーナーを設置。
8月25日(日)には、村民祝賀会も予定しています。
今注目を集める日高山脈を知るきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
問合せ:中札内村日高山脈国立公園化PR事業実行委員会事務局(中札内村役場産業課)
【電話】67-2495
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