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北海道町村会 海外行政視察調査の報告

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北海道北竜町

町長 佐野豊
町村長は、多様化する住民ニーズへの対応とともに、地域行政の総合的な実施主体のリーダーシップの発揮が求められており、諸外国における行政、産業、生活環境などの事情を現地調査する機会が必要とされています。
北海道町村会では10月8日から15日までの8日間の日程でオーストラリアでの視察調査が実施され、視察団の団長として参加して参りました。

■キャンベラ
キャンベラでは、エインズリー山からの景色や国立首都展示場を視察し、都市の全体像を確認した後、国立首都庁担当者から詳細な説明を受けました。感銘を受けたのは、100年以上前の計画に則って「自然景観」と「都市機能」の両立を実現させているという点です。
自然保護区域であるエインズリー山から連邦議会や大使館のある官公庁街までは車で15分程度であり、自然と都市機能の近さを実感しました。首都としてのキャンベラは、町村とは設立経緯や規模が異なりますが、「自然を考慮して都市全体の景観を作る」という俯瞰的な視点は、豊かな自然を有する道内町村のまちづくりにおいても参考になると感じました。

■ジャービスベイ
ジャービスベイでは、クルーズ船からムール貝の養殖の様子や、マングローブ等の周辺環境、選別・出荷工場を視察しました。
視察では、海洋公園に対する国の保護や近隣の自然環境が海域の水質改善に繋がり、結果として漁業や海洋レジャーなどの地域経済の活性化に繋がっていることを理解しました。また特に印象的だったのは、「首長は環境の重要性について住民を教育しなければならない立場にある」という説明でした。
住民の意識を環境保護に向けることで、結果としてその土地の経済的価値を高め、持続可能な発展に繋がるという視点は、漁業に限らず、各地域の産業振興において忘れてはならない視点だと感じました。

■Dairy NSW
酪農における新しい市場開拓や研究・開発・マーケティング・貿易などを行う団体であるDairy NSWからの説明を聞いて、オーストラリア全体の酪農業の実態を把握した後、実際に牧場を視察し、「酪農業に将来性がある」というオーストラリアと、日本の酪農経営の大きな現状の差を感じました。
また、その要因のひとつに国産飼料の供給率が影響していることを改めて実感しました。「飼料の6割を時価調達することが重要」とする研究結果に対し、日本国内での飼料自給率は25%程度。農林水産省でも飼料自給率向上を目標に掲げていますが、食糧安全保障の議論や飼料価格の高騰などから、国内において輸入依存穀物の増産や良質な自給飼料の安定供給に取り組むことができる環境づくりが重要であると感じました。

■ウーロンゴン市 市長との朝食懇談会
ウーロンゴン市では、市の経済政策、環境政策について説明を受け、また翌朝には市長との朝食懇談会も催されました。
市長からはゴミを減らすためにゴミ箱自体を小さくするという説明を受け、画期的な発想であると感じました。また、印象的だったのは、市において投資を促進している点で、成長分野などを記した投資目論見書を作成し、積極的に投資マネーを呼び込もうとしていました。

■クーランガッタワイン農場
クーランガッタワイン農場では、ワイン用ブドウの栽培状況を視察。海岸のすぐ近くの農地では、ジャービスベイ地域などと同様、自然に順応した手法により、持続可能な営農を実現していることが分かりました。
できるだけ自然に逆らわない、自然を壊さないことで持続可能な経営を実現するという意識は、ジャービスベイの養殖事業などと同様の精神であり、地域全体に共有された価値観であるように思いました。

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