診療所長 浦本幸彦
■大事(だいじ)なアレの話(はなし)
大変な年明けでした。
元旦に能登半島を中心とした最大震度7の揺れを観測する地震が起きました。東日本大震災を思い出させるほどの甚大な被害です。翌2日には羽田空港で日航機と海上保安庁の飛行機の衝突事故です。日本中の人が年明け早々大変な年になったと感じたと思います。
災害はいつでもどこでも誰にでも起こりえます。毎回災害の時に言われる事ですが「想定して備えておく」事が大事です。実際に準備しないと意味がありません。僕も地震などを想定はしますが実際に装備品を全部準備してはいません。ダメですね。
でも想定の中で以前から気付いていたのですが、今まで世間一般の考え方で少し力の入れ方が足りないなと感じていた事がありました。
生活する上で必要なものは衣食住と言う言葉で表されます。更にそれを説明するものとして、「衣食足りて礼節を知る」ということわざがあります。
古代中国の管子という書物に記載された文章が元と言われています。管子には
「倉廩[そうりん]実ちて
礼節を知り、衣食足りて
栄辱を知る」と書いてあります。食物倉庫が豊富になると人々は礼節を知るようになり、衣食が十分であれば栄誉あることや恥辱をわきまえるようになると解説されています。略して(笑)
「衣食足りて礼節を知る」になったのでしょう。意味は同じだからまあいいか。
管子に書かれた時点では、衣食の衣は衣服だけの意味ではなく外側を守る物の意味があったと僕は推測します。いわゆる住環境も含めてですね。体の外側も十分な環境が必要ですし体の内側(食べ物)も大事だよって事ですね。
ただ後世の人が衣食だと家がねーじゃねーかと感じ、衣食住と住を付け加えたようです。災害対策物資も衣食住をもとに考えられていると思います。
僕は住環境でとても大切なアレが今まで少し軽視されてきたのではないかと考えます。水や食料は生きるために絶対必要です。アレは絶対ではありませんが文明人が尊厳を持って集団生活するにはアレは必需品です。
そうです、トイレです。
水や食物は必要です。でも入れると出るものもあります。
山の中で一人で暮らすなら青空の下で気持ちよく排泄出来るでしょうが、集団避難生活の場では雪隠攻めは非常に厳しいです。
各人が勝手に好きな場所で致していると数日で周囲を危険な罠に取り囲まれるでしょう。
そこに素早く気付いていた方が居ました。東北大震災を乗り越えたサンドウイッチマンさんです。皆が水や食料を支援している時彼らが気仙沼に寄贈したトイレトレーラーが被災地で大活躍のニュースを目にしました。
ちょっと何言ってるかわかんない人はキチンとわかってるんですね。
◆北竜町立診療所
休診日のお知らせ
2月14日(水)は午後1時30分より浦本先生が深川市において介護認定審査会に出席のため、午後より休診となります。
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