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病院だより No.82

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北海道天塩町

■食欲の秋~もう一口、あと一口だけ~
すっかり陽も短くなり本格的な秋の到来を感じますね。今年は連日の猛暑のため体が悲鳴を上げたという人も多いのではないでしょうか。私は夏バテ気味で低下していた食欲が、秋の到来で見事に回復してきています。今号では、食べ過ぎ予防のヒントになる、食欲と食べ物の関係をまとめてみました。

●食欲はどこから…食欲を増進させるのは「グレリン」
グレリン(食欲ホルモン)はおなかがすくと胃から分泌されます。血液中に分泌されることで空腹中枢を刺激し「何かを食べなさい」と指令を出すため空腹を感じます。と同時に成長ホルモンの分泌も促すので、食べたものを体内で代謝させることにも働きかけてくれます。
グレリンにはいろいろな健康作用があるため決して悪者ではありません。

●過食(食べ過ぎ)の要因
グレリンは分泌されすぎると強いストレスを感じさせ、暴飲暴食の引き金になってしまいます。
ストレスを感じると、脳内で『コルチゾール』『ノルアドレナリン』『ドーパミン』といった、食欲促進作用があるホルモンの分泌が増えます。食べたい気持ちが高まるので甘いものが食べたくなります。糖質が多い甘いものは、血糖値が急上昇したのち急激に下降する『反応性低血糖』を招きます。血糖値が急降下する際に、強い空腹を感じるのでさらに過食につながるという負のスパイラルを招いてしまうのです。1日3食を規則正しく食べることがよい理由の一つはこのためです。適度の空腹を感じた上で食事をとることが大切です。食事間隔が長くなり空腹を感じた時には、甘いものではなく、低糖質なヨーグルトやナッツ類で空腹を満たしましょう。
その他、食事の栄養バランスが悪いと、体内で必要な栄養素が不足し、足りない栄養素を補おうと、食欲が増すことがあります。それでも栄養素が補われなければいつまでたっても食欲は満たされません。また、栄養素だけではなく水分不足も同じく要求サインを引き起こすといわれています。偏りのない食事と程度な水分補給を心がけましょう。食事の内容について不安な方は、栄養指導や栄養相談を活用してみてはいかがでしょうか。

女性の場合、生理前になると女性ホルモンの一つである『プロゲステロン』の分泌が急激に増えます。このホルモンは妊娠を継続させるために食欲を促進させる作用があります。その結果、過食になりやすくなります。この期間はあきらめ、体に負担とならない消化のよい食事で乗り切るのが得策です。

●食欲コントロールのカギ
○よく噛んでゆっくり食べる
満腹感を感じ始めるのは、食事開始から約20分後です。噛み応えのある野菜から食べることもおすすめです。

○体脂肪を減らす
食事を適正量にして運動を行うことで体脂肪が減ると満腹感が感じやすくなります。また運動をすることでグレリンの分泌が抑制されることが分かっています。お腹が空っぽでも強烈な空腹を感じにくくなりますよ。

○睡眠をしっかりとる
睡眠時間が短いと、長く活動した分だけ、エネルギーを確保しようと、グレリンの分泌は増えます。その上エネルギー効率のよい高カロリーの食べ物(ラーメン・スナック菓子等)を食べたくなってしまいます。睡眠時間の確保が難しい日は、「質」を高める工夫をして体を休めてください。

食欲はこれ以外にもさまざまな要因が複雑に絡み合って生じてくるものであり、簡単にコントロールはできない…と栄養のプロでも悩ましいものです。食欲の秋といえども、食べ過ぎには注意しながら、秋を存分に楽しみたいと思います。
(文責 管理栄養士 高原功江)

お問い合せ先:天塩町立国民健康保険病院
【電話】2-1058

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