●あなたが望む生き方、今から始める“もしもの時ノート”
今年3月の北海道新聞に掲載された人生会議の記事をご覧になりましたか。
病気などで人生の最終段階を迎える時、医療やケアをどう進め、その後に残された時間をどう生きるかについて、患者や家族、医療関係者らが率直に話し合ったという内容でした。
医療や介護従事者等は耳にしたことがある人生会議ですが、昨年の厚生労働省の調査では一般国民の72.1%が人生会議を知らないと答えた調査結果から、一般的に普及するにはもう少し時間が掛かる印象を受けます。
今回は皆さんが一度は聞いたことがある「終活」を足掛かりに誰にでも100%やってくる人生最期のことを考えてみたいと思います。
「終活」が注目され始めたのは2010年頃からで、その数年後には流行語大賞ベスト10に選ばれ、終活の映画エンディングノートも公開されました。また、その頃テレビで活躍されていた流通ジャーナリストが終活を行ったことで世間に大きな反響を呼びました。
日本の文化や風習、国民性からも死を連想させる、いわゆる“縁起でもない話”は、夫婦や親子、親しい間柄でも話題にしにくいかも知れませんが、必要になった理由があります。
○終活が必要になった理由
(1)価値観の変化
老後・人生最期の(死の迎え方)の常識が変化した。
(2)環境の変化
昔は親類縁者で様々な出来事を取り仕切り、滞りなく進んでいたことが、選択肢の増加とともに決断しなければならないことが増え、今まで親類縁者で行なって来たことにお金を払って専門業者へ依頼するようになった。
(3)気持ちの変化
自分が望む人生の最期を迎えるために気持ちの整理と準備が必要になった。
いつやってくるかも分からないことに手をつけられず本格的に取り組めないという方もいれば、私は大丈夫、どのように備えれば良いか分からない方もいると思いますので、始めるタイミングや効果をお伝えします。
終活について漠然と考えるより、自分の思いや希望を整理して家族等に伝えるために「もしもの時ノート(エンディングノート)」を活用する方法があります。
もしもの時ノートは、じっくり書くタイプや手軽に書くタイプ等いくつか種類はありますが、主な内容は、(1)自分のこと(2)自分の財産のこと(3)医療や介護のこと(4)葬儀やお墓のこと(5)その他、親戚や友人の名前や連絡先、大切な人へのメッセージが記入できるフリースペースがあり、現在から人生最期を迎える前、最期を迎えた後まで幅広く書けます。
前段で触れた人生会議に活かせる「医療や介護のこと」も項目に盛り込まれています。
もしもの時ノートは、遺言とは異なり法的な効力はありません。気軽に書けて自分にとって優先順位の高い項目から書くことができ、一度に全て書き込む必要はありません。また、気持ちが変われば何度でも書き直せます。
終活には気力や体力、判断力が必要になります。医療や介護のことについては急を要する決断が必要になる場合が多いため、余裕のあるうちに早めに取り組むことが成功の秘訣です。
いつ災害や事故に巻き込まれたり、病気を発症するかは誰にも予測できません。思いがけない「もしもの時」に備えてみてはいかがでしょうか。
○終活を始めるタイミング
・人生の節目(定年退職・還暦・古希など)
・告知や余命宣告を受けたとき
・周囲で困ったり、もめた事例を聞いた時
・テレビや雑誌の特集で気になったとき
・セミナーや講演会で話を聞いたとき
・エンディングノートに興味を持ったとき
・子どもや孫から勧められたとき
○終活の効果
・慌てなくてすむ
・後悔が少ない
・介護者や医療者に自分の意思を知ってもらえる
・これからの生き方が明確になり不安が減る
・これからの経済的な目途が立つ
・家族も“もしも”の時に準備ができる
・しきたりなど家族のツールを申し送りできる
お問い合せ先:福祉課地域ケア係
【電話】(2)1728
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