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自治体の皆さまへ

認知症と向き合う10回目の介護劇

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北海道妹背牛町

演目『みんなでひとり』
11月19日、妹背牛町民会館で上演

■2人に認知症の課題や町民劇団結成のきっかけなどを聞きました!
妹背牛町民劇団の代表 水上明さん
認知症地域支援推進員 金子智津子さん

●認知症を巡る地域の課題-
厚生労働省の推計では、2025年に65歳以上の高齢者のうち約5人に1人が認知症になると言われています。
認知症は誰もが発症する可能性のある身近な病気です。「他人事」ではなく「自分事」と捉え、患者と介護者を地域ぐるみで支え合う理解が必要です。
認知症になったら何もできなくなるということは全くありません。認知症患者の尊厳を尊重し、介護者の悩みに寄り添うためにも、「老い」といった昔からの暗いイメージを払拭する働きかけが大切です。(金子さん)

●どうして介護劇-
これまで、認知症に対して高い問題意識を持つ人たちは、介護施設の仕事や社会福祉に携わる職員などの一部に限られていました。
大衆に親しまれる劇を通じて、町民の皆さんに認知症への理解を深める契機になればと思い、当時、健康福祉課の主幹だった河野和浩さん(現・商工会事務局長)と話し合いを進めたのが始まりです。
介護劇には子どもからお年寄りまでが出演します。見に来てくれる幅広い世代の皆さんをはじめ、介護や認知症に馴染みの薄い人たちにも分かりやすく伝えることが目的です。(水上さん)

●町民劇団、結成のきっかけ-
福祉関係者による寸劇から始まった介護劇は2013年(平成25年)、1回目の公演で町内外から約400人の観客を集め、成功を収めました。
「来年どうしますか?」。終演後のミーティングで出演者に尋ねると、翌年以降の継続を求める声が一斉に上がりました。
初公演から2年後の2015年(同27年)、出演者やスタッフで町民劇団を結成。福祉によるまちづくりを目指すNPO法人「わかち愛もせうし」にちなみ、劇団の愛称を「わかち愛劇団」と名づけました。(水上さん)

●公演を続ける難しさと、その成果-
コロナ禍の2020年(令和2年)を除き、介護劇は毎年上演されてきました。
高齢化が進む小さな町で演劇の素人たちが上演の2カ月前から毎週のように集まり、劇を上演することは決して簡単なことではありません。
当初、劇団の活動は3、4年ほど続けられれば十分との見方もありましたが、町民の皆さんから「今年も楽しみにしているよ」と、応援される機会が増えました。その期待に応えるうちに劇団員同士の連帯感が生まれ、世代間交流も育まれています。(水上さん)

■出演者の 声
●梶ひかりさん
お兄ちゃんやお姉ちゃんの演技を見て、私もステージに立ってみたいと思ったことが、介護劇との出会いです。
介護劇を通じて、世代の異なる人と関わりを持ちながら、演技の面白さ、奥深さを学ぶことができました。
今回は女子学生の役を演じるので、気持ちの入れ方を練習しつつ、内に秘めたリアルな自分、等身大の私を演技の表現に加えていきたいです。

●内藤奈穂美さん・正太くん
学生時代に演劇部だった経験もあって、子育てが落ち着いた昨年から息子と一緒に演劇を楽しんでいます。
子どもの方がせりふ覚えが良くて、伸び伸びとした演技力も勉強になります。
初めて会う人から「介護劇、良かったよ」と声をかけられたことがうれしくて、あらゆる場面で地域との結びつきを深める優しい声かけの大切さに改めて気づきました。

●丸長良子さん
孫ほど年の離れた子どもたちから元気をもらえることも、介護劇の魅力の一つ。2回目から参加しているので、演技の上達ぶりを間近で見ることも楽しいですね。
私はせりふを覚えるのが大変ですが、町民劇団なのでせりふを忘れてしまったり、演技を失敗しても劇団員の味があって面白いステージになると思っています。
仲間と一生懸命に演じ切った後の一体感が最高です。

◆脚本・演出を担当する渡辺貞之さん(アートホール東洲館館長)から、今年の介護劇の見どころを聞きました。
今年の演目「みんなでひとり」は、タイトルにもある通り、認知症に関わる人たちだけではなく、お互いに助け合う大切さを主題にし、スカッと明るい芝居を楽しんでもらえるように台本を仕上げました。
素人の演劇集団が10年以上も活動を続けていることは、とても珍しいこと。演技が上達するベテランの役者と始めたばかりの人との経験の差が、面白い舞台を創り上げます。
町民劇団の名物俳優だった中山隆利さんが今年7月に亡くなり、追悼の意も込めています。
得意のアドリブでせりふ一つひとつに温かみがあった生前の声の録音テープを流す“特別出演”も用意しています。

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