■『心不全』について
保健師です
日本では高齢化に伴い、心不全の患者数が毎年約1万人ずつ増加していて、2030年には130万人になると予測されています。また世界的にも心不全の患者数は増えていて、「心不全パンデミック」といわれています。
―心不全とは
日本心不全学会では「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義されています。心臓は生まれてから休むことなく動き続けています。年齢を重ねる中で心臓に負担がかかると、正常に機能することができなくなり、心不全を発症してしまいます。
―心不全の原因
(1)血圧が高い…心臓が強い圧力で全身に血液を送っている状態です。この状態が続くと、心臓の筋肉が厚くなり伸び縮みしにくくなってしまいます。
(2)肥満がある…体重が増えると血液量も増えるため、全身に血液を送り出す圧力が強くなり、血圧が高くなります。また内臓脂肪の蓄積は、動脈硬化などの血管変化の原因にもなり心臓内の血管にも影響します。
(3)脂質異常がある…血液中の脂質(特にLDLコレステロール)が多いと、血管の壁を厚くさせたり血管内に隆起したコブ状のもの(プラーク)を作り、血流を妨げてしまいます。脂質由来のプラークは不安定で、破裂すると血栓の原因にもなります。
また、弁膜症や心筋症などの心臓病も心不全の原因になります。
―心不全を予防するには
原因(1)~(3)の解消が必要です。塩分を控える、体重管理をする、ウォーキングなどの運動を心がけるなど、生活の中でできる予防があります。治療中の方は自己判断せず、主治医とともに治療を続けることも大切です。そして、心不全の原因となるものがあるかどうかを確認することも重要です。年に一回の健康診断で身体の様子を確認しましょう。
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