皆さん、岩見沢地方高等職業訓練校(岩見沢市職業訓練センター)を知っていますか。
名称だけ聞くと、特定の仕事で使う技術を習うところで「自分の生活には関係ない」と思う方が多いのではないでしょうか。
今月は、この謎に包まれた職業訓練校をいわみ記者が調べました。
■どんなところか調べてみたよ
高い技能と幅広い知識を有する職人に与えられる国家資格である技能士の取得を目指す認定職業訓練校。昭和56年から、土木・建築業者の従業員が仕事と両立しながら訓練に取り組み、従業員の社会的な評価の向上や事業の発展に貢献している。
所在地:東町2条1丁目28-7
・訓練科目数、土木・建築分野の受講者数は道内ナンバー1なんだって!
■関わりのある人に話を聞いてみたよ
▼卒業生
西島(にしじま)夕貴(ゆうき)さん
西島塗装工業(株)(日の出北2)
専務取締役
訓練歴
建築塗装科に令和4年度入校、令和5年度卒業
○現在、どんな仕事をしていますか?
住宅などの一般建築物の塗装、コーキング、防水などの仕事をしています。自社で足場の組み立てもできるので、すべて一連で作業することができます。
○どんな授業でしたか?
入校する前にも現場で勉強していましたが、刷毛(はけ)の使い方や塗装の調色など、改めて基本を復習できました。また、昔使われていた塗装の素材の勉強もしたので、古い建物に塗装する際に、現在の素材との相性などを考えながら塗装を行うことができるようになりました。
○クラスの雰囲気はどうでしたか?
通っていた建築塗装科は私を入れて3人で、それぞれ別の会社でした。
岩見沢は、さまざまな現場でお互いに助け合うなど、同業者の仲がとても良いのが特徴だと思います。なので、クラスメート2人も顔見知りでした。いろいろな会社や年齢の方が集まっていますが、すべてのクラスに共通して、雰囲気が良く、和気あいあいとしていました。
他のクラスの方とも仲良くなり、休憩時間にミニゲームや趣味の話をしたり、職業訓練校が終わった後にみんなで食事に行ったりすることもありました。
○入校して良かったことはなんですか?
同業者でも、仕事のやり方はそれぞれ違いますが、仲間と情報交換できたことはとても良かったです。お互いの優れた取り組みを取り入れることで、地域全体の技能の向上につながりました。
また、他業種の方といろいろなつながりができたおかげで、卒業後も会社でできない作業を手伝ってもらうなど、お互い助け合える関係を築くことができました。
▼講師
赤間(あかま)年幸(としゆき)さん
(有)赤間板金(6西11)
代表取締役
指導歴
平成12年度から建築板金科指導員
○授業では何を教えていますか?
建築板金科で国家資格2級の取得を目指して実技訓練などの授業を行っています。先輩たちから受け継がれたセオリーや失敗体験のほか、危険を伴う事例など、けがの防止につながることも教えています。
○職業訓練校のメリットはどんなところですか?
現場作業ができない冬期間に技能を磨けるのはもちろんのこと、生徒同士でコミュニケーションを取り、同業他社がどんなやり方をしているかを知れることや、他業種の方と交流することができることです。顔見知りが増えることで、現場での雰囲気も良くなります。
また、私は生徒として製図や左官の授業を受けたことがあります。普段の仕事では知ることのできなかった技術を学ぶことができ、仕事中に抱えていた「他業種ではなぜこんなやり方をするのだろう」というモヤモヤが授業を通じて晴れるような経験をしたことがあります。
この経験は職業訓練校に入校しなければできないため、会社の職人にも肌で感じてほしいと思い、7人いる技術職員のうち、6人を複数の学科に通わせました。
○入校を悩んでいる事業主や従業員に一言お願いします
職業訓練校には、けがをしないように大事に育ててくれる温かい先生が多く、生徒同士も情報交換を行い、技能が磨かれて帰ってくるので、事業主には、ぜひ従業員を入校させてほしいです。
従業員は、事業所の中で反復練習ばかりさせられているとネガティブな気持ちになることもあると思いますが、同じレベルの人が集まる訓練校だと、客観的に自分の立ち位置を知ることができ、安心して学ぶことができます。モチベーションの向上にもつながるので、入校して一緒に学びましょう。
手を動かすのが好きな人に、一人でも多くものづくりの楽しさを伝えたいです。
いろいろ調べたり、話を聞いたりして分かったけど、職業訓練校のおかげで土木・建築分野の職人さんの技能が市内全体で向上しているほか、いろいろな業種の人とつながりができることで、情報交換ができたり、良い雰囲気でスムーズに仕事ができたりしているんだね
道路を造ったり、直したり、僕たちの家を建てたり、修理したりする時に、職業訓練校の存在が大きく影響していることが分かったよ
問合せ:商工労政課
【電話】35-4519
■スキルアップしよう! 令和7年度入校の受講生募集
対象:事業所に所属する従業員で、スキルアップを目指す方
募集学科:8学科(全科2年制)
令和7年度の訓練期間:令和7年4月7日~令和8年3月26日までのうち78日間
※78日間のうち53日間を1月から3月に実施します。
訓練時間:午前8時50分~午後4時30分
場所:岩見沢地方高等職業訓練校(岩見沢市職業訓練センター)
定員:各科16人
費用:訓練生1人につき月額1,500円
※8割以上の訓練出席などの要件を満たすと、国や市から助成金が支給されます。
・こんなに科目があるんだ!たくさんの人が入校してくれるとうれしいな
申込・問合せ:11月1日(金)から2月14日(金)までに、岩見沢地方職業訓練協会事務局(東町2-1)へ
【電話】23-8340
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