■活力を生むまちづくり
▽農業
平取町の主要作物であるトマトの栽培は、昨年は猛暑等の影響により販売額が伸び悩んだ状況でしたが、「びらとりトマト」のブランドは確実に定着し、全国屈指の産地としての地位を築くに至っています。
しかし、生産農家の高齢化や離農により作付面積は減少し、後継者や新たな担い手を確保することにより、農地を守り産地を維持していくことの重要性が増しています。そのため、従来の新規就農受入・支援制度に加え、令和5年度から運用を開始した「就農チャレンジ農場」における農業研修生の受け入れを進め、次の世代を担う人材の育成に取り組みます。
トマトと並ぶ平取町ブランドの「びらとり和牛」は、農業生産費が、未だにコロナ禍や円安、国際紛争の影響から高騰し続け、依然として和牛生産にかかる需給動向が消費低迷していることから、平取町畜産公社を含む畜産農家の経営は、今なお厳しい状況が続いています。これらの状況を鑑み、びらとり和牛ブランドの継承や畜産公社の経営方針等について、町内の関係農家、農協、関係団体と情報を共有し、様々な視点で検討を進めたいと考えています。
酪農・養豚・軽種馬等の畜産振興について、生産者及び関係団体と協議連携し、平取町として支援を継続します。
農業生産基盤と農村生活環境の整備を計画的に進め、農業の持続的発展、農村の振興、食料の安定供給、多面的機能の発揮を図っていきます。
また、国の畑地化促進事業による水田の畑地化が急速に進み、市町村による「地域計画」の策定が求められ、町内各地域の農業将来像をまとめることになります。畑地化後、農地の有効活用に向けた流動化や農業施設の効率的な維持管理など、各地域での農業課題等について地域で話し合いを持ち、関係機関と十分に協議を重ね、地域が主体となった計画となるよう進めていきます。
▽林業
森林が有する多面的機能を総合的かつ高度に発揮させるため、適切な森林管理を進め、町有林の循環型経営を確立し、事業量の安定を図り、森林施業の基盤である林道の開設や適切な維持管理も継続します。
令和6年度から森林環境税が国税として課税されることが、町民に広く森林環境維持のため必要な財源であることの理解に努め、森林環境譲与税を活用した民有林の間伐推進、作業路の整備など安定した森林整備を進め、人と木や森との関わりを主体的に考え豊かな心を育む「木育」の推進、町内の公共施設などの木質化による木材利用の促進を継続的に進めます。
林業現場での人材確保は、令和5年度に創設した林業担い手対策事業の取り組みの成果として、北海道立北の森づくり専門学院から令和6年度2名が、町内での就職を希望しています。
さらに、担い手不足や作業従事者の高齢化が著しい林業、木材製造業について、人材確保の取り組みを強化していきます。
また、木質バイオマスの活用を進めるため、地域内での林地残材や未利用材の活用などによる原料供給体制の具体的検討を進め、木質バイオマス燃料での再生可能エネルギーの創出による地域内経済循環型システムのさらなる構築を目指します。
▽商工業
人口減少、時代の変化や消費者の価値観の変化などから、平取町でも小売店や飲食店は減少の一途を辿っています。以前のような商店経営が難しい環境ですが、生業として成り立つ、消費者のニーズに呼応できる職種や商法なども検証し、後継者対策、空き店舗の活用や外部からの人材の確保など、商工会と連携し積極的に進めていきます。コロナ禍の収束により復活するイベントの開催にも支援をします。
また、人口減少の抑制や雇用の確保という見地から、企業誘致への情報収集なども進めます。
▽観光
観光を契機とする交流型のまちづくりを進めることで、観光が他の産業を活性化し、雇用の創出やアイヌ文化の振興、人口の定住につながることを期待し、各種事業を進めます。
町内へ人を呼び込む手段として平取型ツーリズムなどの提供のため、観光協会やアイヌ文化振興公社など関係団体と連携し、大胆な発想とアクションで、観光分野の各種事業等の活性化と観光資源の新たな掘り起こしを推進します。
観光資源であるすずらん群生地、二風谷コタン、びらとり温泉ゆから、義経神社、映画ロケ地などへの観光客の積極的な誘致と、キャンプ場を有する二風谷ファミリーランドやニセウエコランドもソフト、ハード両面で入込客、観光消費額増のための取り組みを強化します。
また、「日高山脈襟裳国定公園」の国立公園化が年内に確実となり、日高山脈の秀峰、幌尻(ポロシㇼ)岳を有し、麓にアイヌ語地名や伝説などが数多く残る平取町として、国立化というブランドを活用し、来訪者や登山客の誘致を図ります。
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