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特集 子育て支援の現場からこども通園センター「安藤先生」

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北海道当麻町

当麻保育園にお邪魔すると、子どもたちの無邪気な声が聞こえてくる。
「安藤先生、今日は何組さんに行くの?」「えー、〇〇組に来て!」
今日は月に一度の「安藤先生」の訪問日。「時々来るお客さん」の前では、良いところを見せたくてつい背伸びをして頑張ってしまう子どもたちも、安藤先生の前ではいつものあどけない笑顔を見せる。

安藤先生が当麻保育園への訪問を担当し始めたのは約10年前。前任の先生の「現場でしか見えない子どもの姿がある」との方針を受け継ぎ、現在に至る。長年の訪問を通して、安藤先生はすっかり子どもたちの中に馴染み、子どもたちも心待ちにするようにまでなっている。

「いつもと同じ子どもの様子をよく見ること」

それは、月に一度の訪問の中で、安藤先生が最も重視していること。何気ない会話や動作の中に見える、子どもの発達。「この子の力を伸ばしてあげるには、どんな支援が効果的だろうか」「就学前にいま準備できることは」。そんな思いをもちながら、今日も安藤先生は子どもたちに寄り添い、園の先生たちと支援の方法を模索している。

1.安藤先生とは
安藤先生は、子育て総合センターの中にある「こども通園センター」で働く、児童発達支援管理責任者の一人。湧別町出身で2人のお子さんの母親でもある。約23年前、子育てが少し落ち着き、そろそろ就労を考え始めた頃、すでに成人したお子さんをもつお母さんの「育児をやり直したい」と涙ながらに語る姿を目にしたことをきっかけに、この仕事を始めた。「当時30代の自分と同じくらいの年齢の子どもをもつお母さんのその言葉に、どれだけ苦しい思いで子育てを頑張ってきたんだろう、と胸が締め付けられたんです。私も子育てがうまいわけではないけれど、そんな後悔をする人を一人でも減らせたらという思いが、いまの活動の原点になっています。」

■上川中部福祉事務組合上川中部こども通園センター「ぽっかぽか教室」安藤千幸(あんどうちゆき)
児童発達支援管理責任者として、未就学児の発達に関わる相談・支援のほか、関係機関への訪問、連携調整を行う

2.コロナ禍によって「失われた機会」
近年、子どもを取り巻く生活環境は、デジタルデバイス(スマホ・タブレット・ゲーム機・パソコン・スマートスピーカーなど)の普及によって大きく変化を遂げた。そこに輪をかけるかたちで現れたのが、数年にわたるコロナ禍の影響だ。未就学児の発達について、安藤先生は特にコロナ禍の影響を大きく受けているように思うと話す。
「人と距離をとること、マスクをつけること、家にいることが推奨されたコロナ禍を通し、多くの子どもたちが体をつかわない遊びに楽しさを見いだし、外遊びの楽しさを知らないまま大きくなってしまったように思います。また、子どもが本来もつ〝真似して学ぶ力〞も、距離をとらなくてはいけない中で存分に発揮することができませんでした。コロナ禍が一段落ついたいま、まずは人と関わることの楽しさ、お友達と外遊びをすることの楽しさを改めて感じてもらい、体を思いきり使った遊びを経験してほしいと思います。」

3.こども通園センターの役割
こども通園センターは、前述の保育園訪問のほか、幼稚園での運動あそびの開催など幅広く子どもの発達に関わる相談・支援を行うが、その主となる役割は「ぽっかぽか教室」の開催。ここには、保護者からの相談をもとに、医療と保育(療育)の支援が必要と認められた4町(当麻町、比布町、愛別町・上川町)の親子が通園している。
「多くの子どもたちは、毎日の生活の中での声かけや、その方法を少し変えるだけで、大きく変化していきます。この教室は、そんな工夫の仕方を親子で一つひとつ確認しあう場所だと思っています。子どもの好きなこと、チャレンジしたことを認めていくこと。それは、失敗しても、もう一度やってみよう!とチャレンジする心につながります。それは、まさに生きる力そのものだと思うんです。」そう話す安藤先生は、0歳から始まる乳幼児健診、6歳の就学時健診と、当麻町の子どもたちを継続的に見守る一人。「通園センターは、子育てをしている全ての人にとって身近な相談機関です。子どもが寝ない、こんな時どうすればいいか分からない、など育児に関する悩みがあれば、どんなことでも気軽に声をかけてくださいね。」

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