【概要】
平成12年度~16年度にかけて行われた西島松5遺跡の発掘調査。遺跡からは約167万点もの土器や金属製品などが見つかりました。
その中で、擦文(さつもん)時代前半の土器や金属製品などの218点が重要な考古資料として評価されたことから、令和6年8月27日に国の重要文化財として指定されました。
なお、市内出土品で重要文化財に指定されるのは、「カリンバ遺跡出土品」に続き2例目。
■西島松5遺跡とは?
西島松5遺跡は、恵庭市西島松にある千歳川支流の柏木川とキトウシュメンナイ川(坂野川)に挟まれた場所に位置します。
柏木川河川改修工事に伴い、平成12年から平成16年にかけて当時の(財)北海道埋蔵文化財センターが発掘調査を実施。調査面積約21,000平方メートルからは、縄文時代の漆製品や擦文時代の金属製品など約167万点に及ぶ貴重な文化財が出土しました。
◇北海道の年表
■発掘された墓の特徴は?
平成12年の調査では、擦文時代前半の墓跡90基を検出。そこには、刀28点、刀子(とうす)(現代のナイフ)72点など合計170点以上の金属製品が副葬されていました。
見つかった墓跡は、「土坑墓(どこうぼ)」が84基、「周溝墓(しゅうこうぼ)」が6基となります。
◇土坑墓とは?
縄文時代や擦文時代などにつくられていた墓で、土を掘って穴をつくり、そこに人の遺体を埋葬した遺構のこと。今回見つかった墓は、主に7世紀前半から8世紀半ばにつくられ、墓の長さは0.8~1.2m。穴の底には鉄製品を副葬し、頭部側に礫(れき)(小石)を2点置くといった特徴があり、北海道中央部におけるこの時期の独特な墓制といわれている。
◇周溝墓とは?
今回見つかったものは、8世紀後半~9世紀前葉につくられた墓。円形に溝を掘った内部に主体部となる掘り込みをつくり、これらの全体を埋葬施設としたもの。溝の内側に土を盛り上げていた可能性も考えられている。
■発掘された出土品は?
発掘された墓から出土したもののうち、今回重要文化財に新たに指定されたものは、武器や農工具などの金属製品155点と甕(かめ)や片口(かたくち)・注口(ちゅうこう)などの土器62点、琥珀玉(こはくだま)1点です。
金属製品155点のうち150点は鉄製品で、大刀(たち)・蕨手刀(わらびてとう)・横刀(おうとう)・鏃(やじり)などの武器のほか、農工具や漁労具などです。なかでも刀類は、黒く漆塗りされた鞘(さや)や柄(つか)が良好な状態で残っていました。また、金や銀で飾られた大刀は畿内(きない)(現在の奈良県・京都府・大阪府など)で7世紀に製作されたものと考えられています。
見つかった金属製品はすべて本州で作られたと考えられており、この時期の北海道の遺跡としては群を抜いて多い出土数です。
このように、保存状態が良好な金属製品や土器が多数あり、擦文時代前半の埋葬方法について詳しく確認できることや、本州との交流があったことを考えるうえで学術的価値が高いものであることが認められ、今回重要文化財に指定されました。
■西島松5遺跡出土品 重要文化財新指定記念 写真展開催中!
○10/14まで
会場:郷土資料館
時間:9時30分~17時(休館日を除く)
■西島松5遺跡出土品 重要文化財新指定記念 出土品展示会開催!
○10/19~12/15
会場:郷土資料館
時間:9時30分~17時(休館日を除く)
問合せ先:郷土資料館
【電話】37-1288
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