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【特集】自分らしく元気に年を重ねてもらうために(1)

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北海道恵庭市

人生100年時代を迎えた今、高齢者がいかに要介護状態にならず自立した状態を維持し、自分らしく元気に年を重ねることができるかが重要になってきました。そのためには、フレイル(虚弱)や要介護状態になることを予防し、一人一人の体にあわせたきめ細かい支援が必要です。
市では、令和2年度より「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」事業を開始し、今年度で5年目。今月の特集では、今まで行ってきた事業を振り返り、今後の支援について考えます。

■高齢者の保健事業と介護予防の課題
国の医療保険制度では、75歳に到達した人は、それまで加入していた国民健康保険や社会保険などから、後期高齢者医療制度に異動することになっています。
国民健康保険は「市町村」、社会保険などは「協会けんぽ」などが運営していますが、後期高齢者医療制度は「北海道後期高齢者医療広域連合(以下、広域連合)」が運営。そのため、75歳を境に、健康保険の運営主体が変わります。
それに伴い、それぞれの保険に加入している人の健康の保持・増進のために実施する「保健事業」の実施主体も、広域連合となることから、事業の継続性がとぎれるといった課題が見られました。
また、高齢者は複数の慢性疾患を抱えやすいといった医療の観点に加え、フレイル(虚弱)状態を防ぐといった、介護予防の観点からもサポートする必要があります。しかし、「介護予防事業」については、市町村が主体となって実施しているため、広域連合が実施する保健事業と一体的に対応しにくいという課題もありました。

▽保健事業と介護予防の課題

■保健事業と介護予防の一体的な実施
このような課題を解決するため、国は健康保険法を改正。広域連合から市町村へ高齢者の保健事業の実施を委託するという形で、市町村が主体となり市民に身近な立場から、きめ細やかな保健事業を実施するよう方針が示されました。
従来より、保健事業と介護予防事業とで連携した取り組みを進めていた恵庭市。この「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」事業について、モデル都市として選出され、令和2年度から先駆的な取り組みを行ってきました。
令和6年度からは全国でも多くの市町村で実施されています。

▽一体的実施イメージ

■恵庭市の健康課題
市では、保健事業および介護予防事業を行う上で、国保データベースシステム※などを活用し、データ分析・健康課題の把握を行っています。
その結果、次のような健康課題があることがわかっています。
※国保連合会(国民健康保険法に基づき、都道府県・市町村・国民健康保険組合が共同して目的を達成するために設立された組織)が管理する「特定健診・特定保健指導」、「医療(後期高齢者医療を含む)」、「介護保険」などの情報を活用し、効果的な保健事業の実施をサポートすることを目的としたシステム

◆一人当たり医療費(令和5年度)
後期高齢者の一人当たり医療費のうち、入院は国と比べて9,880円、外来は40円高い状況です。受診率については、外来受診が低い一方で、入院が高い状況であり、病気が重症化し入院治療を要する状況になってから受診する人が多いと考えられます。特に生活習慣病は自覚症状が乏しいので、定期的な健診と早期受診が大切です。

▽一人当たり医療費の状況

◆要介護・要支援認定の有病状況※
要介護または要支援の認定を受けた人のうち、特に予防すべき重篤な疾患を抱えていた割合は「心臓病」56.3%、「脳血管疾患」19.9%となっています。また、重篤な疾患に発展する可能性のある生活習慣病を抱えていた割合をみると、「糖尿病」は26.2%、「高血圧症」は50.4%、「脂質異常症」は32.6%となっており、介護予防の観点からもこれら生活習慣病の対策が重要といえます。
※有病状況とは、ある地域や集団における特定の病気の罹患(りかん)率を知るために重要なデータとして扱われ、疾患や病気の普及状況やその傾向を把握すること

▽75歳以上の要介護(要支援)認定者の有病状況

◆健康診査受診率
後期高齢者健康診査の受診率は13.1%で、国の25.8%と比べて大きく下回っています。

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