■一体的事業の取り組みと成果
市では、前ページで紹介したような健康課題の解決に向け、保健事業と介護予防事業の一体的事業を企画・実施してきました。これまで実施してきた事業内容、実績は次のとおりです。大きく2つの種類に分け、紹介します。
◆1.ポピュレーションアプローチ
健診の結果が悪かった人、治療が必要な人などに関わらず、市民の皆さんに「広く」健康に関する普及啓発などを行う事業
◇プレミアム健康度チェック
〔事業内容〕
骨密度測定や筋肉量・体組成測定、脳年齢チェックに加え、保健師・理学療法士・管理栄養士・歯科衛生士といった専門職に個別に相談できる相談会を行います。
〔実績〕
市内スーパーなどの商業施設で周辺地域の健康課題に合わせた測定会・相談会を実施。令和5年度は、4回開催し、134人が参加しました。
◇ウェルカム75
〔事業内容〕
年度内に75歳になる人を対象に、後期高齢者医療制度の説明に加え、75歳からの栄養・健康づくりについて、保健医療専門職が講話を行っています。
参加者には自身で健康の維持・向上に挑戦する「健康チャレンジ」の目標を立ててもらい、多くの人がチャレンジに取り組んでいます。
〔実績〕
「ウェルカム75」への参加をきっかけに「体調管理に気を付けたり、年を重ねても筋力が維持できることを実感できたので、これからも頑張りたい」といった感想が寄せられています。令和5年度は、6回開催し、143人が参加しました。
〔開催予定〕
8月23日(金)…島松公民館 ※P12「暮らしのお知らせ」参照
11月15日(金)…生涯学習施設かしわのもり
12月13日(金)…恵み野会館
◇健口教室
〔事業内容〕
恵庭市歯科医師会の協力のもと、老人クラブや地域のサロン、ウェルカム75の会場に歯科医師を招き、「お口の健康」をテーマに講話を行っています。
〔実績〕
令和5年度は、4回開催し、92人が参加。担当の市内歯科医師には、日常のお手入れ方法から最新の治療にいたるまで、多くの質問に答えていただきました。
◆2.ハイリスクアプローチ
健診の結果などで「高血圧」、「高血糖」と判定されたり、治療が必要な状態であるにも関わらず「未治療」であったりするなど、健康リスクが高い人を対象に、リスク改善を目的に行う事業
◇低栄養予防事業
〔事業内容〕
痩せ傾向が見られる高齢者に対し、「体重」の変化などをもとに保健指導や栄養指導を行います。
〔実績〕
令和5年度は、78人に保健指導などの介入を行いました。また、令和2年度実施者21人のうち17人について、翌年度健診結果で比較すると、13人に数値の改善、2人に数値の維持が認められ、翌年度の医療費では53%が減少、28%が維持となっています。介入を行った21人は、翌年度も介護給付対象者とはなっておらず、恵庭市の同年代の人と比較した場合、試算すると年間約6万円の介護給付費の削減となっています。
◇糖尿病性腎症重症化予防事業
〔事業内容〕
糖尿病リスクが高い未治療や治療中断の人、治療中であってもコントロール不良の人を対象に、保健指導を行います。
〔実績〕
令和5年度は血糖コントロールの指標である「ヘモグロビンA1c」や「空腹時血糖」で該当する2人に保健指導などの介入を行いました。また、令和2・3年度実施者のうち、翌年度も継続して健診受診した38人について調査したところ、ヘモグロビンA1cは、半数以上に改善がみられました。1人当たりの年間医療費を、〔保健指導の有無〕で比較すると、〔保健指導実施群〕は〔保健指導未実施群〕に比べ、約30万円安価となりました。
◇健康状態不明者支援事業
〔事業内容〕
病院の受診や健診の利用がなく、要介護認定を受けていない一定年齢の人を対象に、保健師が電話連絡や家庭訪問を行います。必要に応じて、健康状態の確認や介護予防のサービスの紹介などをしています。
〔実績〕
令和5年度は、15人に支援を行いました。
■自分らしく元気に生活を送るために
恵庭市では、令和2年度から「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」事業を開始し、「市の健康課題」の解決を意識して、さまざまな事業を行ってきました。今後も行政だけでなく、医療機関などの関係機関とも連携し、恵庭市全体で健康課題の解決に取り組んでいきます。
これからも、市民の皆さん一人一人が自分らしく元気に生活を送るため、今回の特集をきっかけに、健診・病院の受診や健康行動をとることなど、いま一度、自身の「健康」について考えていただければと思います。
問合せ先:
・保健事業について…保健課【電話】25-5700
・介護予防事業について…介護福祉課【電話】33-3131(内線1209)
・医療保険について…国保医療課【電話】33-3131(内線1167)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>