◆様々な視点から語る「新得」と「手話」これまでに何が変わり これからどう変わっていくのか
▽新得手話コーラス講師 岡田 セツ子さん
-手話との出会い
新得町で開催された全道駅伝大会のお手伝いをした際に、ろう者の選手に通訳できない自分の不甲斐なさから、自分も手話を習おうと思ったのがきっかけです。手話と出会ってから40年ほど経過しますが、町全体として、ろう者に対する抵抗感が少なくなったように思います。
-以前と変わったこと
小中学生に手話を長らく教えているので、町中で「あ、手話のおばさんだ!」と声をかけられることもたびたびあります。子どもたちは手話を交えて挨拶してくれるので、子どもたちの「手話」の認識が深まっているように感じています。
-今後に期待すること
新得は十分ろう者に優しいまちづくりをしていると思います。挨拶以上のコミュニケーションが取れる人たちがもっと増えればいいなと期待しています。
▽新得手話コーラス会長 太田 泰子さん
-子どもにもできるなら…
岡田セツ子先生のお孫さんが4歳頃の時、舞台の上で手話をやっているのを見て、「小さい子にもできるならやってみよう」ということで、そこから会員を集めて、岡田先生にご無理を言って指導をお願いしました。岡田先生には感謝しかありません。
-日常に根付く手話
自分の住む町内会には、ろう者の方が多く、普段から挨拶や手話での会話をしており、日常生活の中に手話があります。
-「手話の歌」の普及に向けて
様々なところで発表する機会があり、曲も覚えるのに大忙しですが、岡田先生はよく、「世の人のためにしなきゃいけないことをしなさい。」とおっしゃっていますので、それを忘れずにこれからも頑張ります。今回「新得手話の歌」ができたので、多くの人に浸透して欲しいですね。
▽新得手話の会代表 柴田 絵美さん
-新得と手話
新得というまちはあいさつを手話でできる人が多く、身振り手振りでコミュニケーションができる人が多いと思います。興味・関心がある人がそれだけいるということかもしれません。家に手話のポスターを貼っている人も多く見受けられます。手話が身近にある環境で、手話を使う機会が多いのも理由の一つだと思います。
-活動を通して思うこと
やはり自分の手話をわかってもらえた時や、相手の方の手話が読み取れた時の「わかった!」という瞬間は、何にも代え難い嬉しい瞬間ですね。
-今後に期待すること
お店の窓口などで、現在も親切に対応されていますが、手話で対応できる人がもっと増えればいいなと思います。
▽十勝聴力障害者協会会長 川口 豊さん
-条例制定を振り返って
当時は全国で条例制定の動きがあり、新得全道ろうあ者大会の開催から、実質半年程度で条例制定に至ったので本当にあっという間に制定され、驚きましたが、福祉のまちだからこその早さだと思っていました。
-この10年で変化したこと
登校中の生徒が私に手話で挨拶してくれる事に驚きと感動を覚えました。やはり学校で手話授業を行なっていることで挨拶などの簡単な手話が、小さい頃から根付き始めているのだと感じています。
-まちに求めること
買い物に行くと、ゆっくり話してくれたり、優しく対応してくれたりと、昔と比べると随分ろう者に優しいまちになりました。今後は、すらすらと手話でコミュニケーションできる人がもっと増えれば嬉しいです。
▽社会福祉法人厚生協会 新得やすらぎ荘 髙橋 一博さん
-手話の難しさ
私は平成7年に新得町に来ました。元々手話を学んでいたので、手話で相手に言葉を伝えることはできたのですが、聞く時が大変難しいと感じました。手話は単語の組み合わせで会話しているので「てにをは」がありません。方言のようにいろんな手話の表現があるので、それらを覚えることが非常に大事です。
-表現力=ジェスチャー
ろう者の方はジェスチャーが上手です。例えば、海外旅行に行くと、言語がわからなくてもジェスチャーでどんどん買い物するので大変驚きました。表現力が豊かだからこそなしえる技ですね。
-まちづくりで思うこと
ろう者の日々の生活を意識したまちづくりをしていただいていると思います。町の施策も様々行っており、それもあってか、昔に比べてろう者に対する抵抗感が少なくなったと思います。
▽手話ブルーさん
-手話ブルーとして
平成26年に全国では3番目、町村では初の「新得町手話に関する基本条例」が可決、成立されたことを機に、広く手話を普及、推進するため、手話推進キャラクターとして私が誕生しました。
私の頭は、手の形をしていますが、これは手話で「アイラブユー」という手話を表しています。私は、町内の様々なイベントで皆さんにお会いしているかと思います。
-今後の展望として
今まで町は、手話の本、ポスターの作成、手話講座、手話に関する記念行事を開催するなど手話普及に向けて努めてまいりました。
今後も手話理解のための周知事業を継続して行ってきます。今回、新得手話の歌が出来たので、町内施設や各学校などに提供し、手話の普及啓発に役立てていきたいです。
◆10周年を迎えて
11月12日(日)に町公民館で「新得町手話に関する基本条例施行10周年記念式典」が開催されました。
この式典では、条例制定10年のあゆみを映像で視聴、手話の普及に貢献された方への感謝状贈呈や、令和7年に開催予定の東京デフリンピックのPR映像などを視聴しました。式典の最後には歌手の加藤恵理奈さんと手話サークルによる新得手話の歌「手話であいさつ〜新得から〜」を披露し、会場は大いに盛り上がりました。
午後からは、日本ろう者劇団記念公演として手話狂言「鶏聟(にわとりむこ)」の公演と手話狂言ワークショップを開催し、10周年に花を添えました。
◆これからの10年
町はこれまで、手話普及に向けた取り組みを継続して進めてまいりました。この10年で手話への興味の向上や、改めて新得町は手話の町であるという認識が強まるなど、町民の手話に対する意識は条例を制定したことで変わってきていると感じています。
これからも、ろう者の暮らしやすい環境づくりと、町民の理解普及に努めていきます。
田中さん、藤川さんから始まった手話のまち新得は、確実に後世へ受け継がれています。
→保健福祉課福祉係(保健福祉センターなごみ)
【電話】64-0533(内線222、223)
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