子宮頸(けい)がんからあなたを守るため HPVワクチンの接種を

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子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染によるものがほとんどです。HPVの感染は、ワクチン接種で防ぐことができます。
定期接種の対象は小学6年生～高校1年生相当の女性ですが、ワクチン接種の機会を逃した平成9～19年度生まれの女性も、令和7年3月末まで公費で接種(キャッチアップ接種)できます。ワクチン接種を検討している方のために、HPVワクチンの効果や副反応について、プリモウイメンズクリニックの田中信一院長にお伺いしました。

◆子宮頸がんはどんな病気ですか?
「HPV」というウイルスが子宮の入り口(頸部(けいぶ))の粘膜に感染し、5～10年かかって発症するがんです。
HPVは、性交渉の経験がある女性の約8割が感染するほど、感染率の高い身近なウイルスです。感染してもほとんどの場合は自然に消えますが、一部の人はがんを発症してしまいます。
がんの初期であれば、子宮の部分切除などで治せますが、流産や早産のリスクが増し、出産に影響を及ぼします。
進行すると、子宮の全摘出が必要となり、今後妊娠を望めないだけでなく、他の臓器へ転移すると広範囲の手術で後遺症が残ることや、死に至ることがあります。日本では毎年、約2900人が子宮頸がんで命を落としています。
HPVの感染を防ぐためにはワクチン接種が有効です。
世界中で、ワクチンが接種され、接種率の高い国では子宮頸がんが減少していますが、日本は接種率が低く、30年前に比べて感染率と死亡率が倍以上に増加しています。

◇HPVワクチン接種の子宮頸がん減少効果(スウェーデン)

〈出典〉公益社団法人日本産科婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」より作成

◆ワクチン接種の副反応はありますか?
コロナワクチンと同じ筋肉注射であるため、注射部位の痛みや腫れなどの軽い副反応がありますが、コロナワクチンと違い、発熱することは多くありません。
副反応があっても、すぐに病院で適切な処置をすると治まることがほとんどです。
HPVワクチンは合成タンパクで作られており、タンパクは体の中で分解されて1カ月ほどで消滅するため、副反応が長く続くとは考えられません。接種から1カ月以上経った場合は、ワクチンとの因果関係がほとんどないと言えます。
また、手足の力が入りにくいなどの症状は、ワクチン接種と関係なく、若い女性に一定の割合で現れるものです。
他国の調査でも、重篤な副反応は認められていません。
副反応が心配な場合は、保健センターや医療機関に相談してみましょう。

◆ワクチンの種類で違いはありますか?
HPVワクチンは、2価、4価、9価の3種類があります。
HPVは200種類以上の型があり、その中でも非常にがん化しやすいのが16型と18型です。2価と4価ワクチンはその2つの型の感染を防ぐことができ、9価ワクチンは、さらに5つの型が追加されたものです。9価ワクチンでは子宮頸がんの原因を8～9割も防ぐことができます。
ワクチン接種の効果は、キャッチアップ世代の方にもあります。すでに感染していても型が違うことや、数種類の型が複合感染して発症することがあるためです。また、HPVは性交渉で感染するため、男性も感染し、肛門がんなどになることがあります。全額自己負担になりますが、男性もワクチン接種ができます。
HPVは人から人に感染するウイルスです。多くの人がワクチン接種することで、「子宮頸がん」という病気をなくすことができるのです。
ワクチン接種で感染は予防できますが、特殊な型のウイルスもありますので、20歳以上の女性は検診も受けましょう。

◇ワクチン接種の効果

◆H9～19年度生まれの女性が対象　キャッチアップ接種
令和7年3月末まで無料で接種できますが、それ以降は1回約3万円かかります。3回接種が必要で、接種完了までに6カ月かかるため、令和6年9月までに接種を開始してください。

◆20歳以上の女性は子宮頸がん検診を受けましょう
20歳以上の女性を対象に、2年に1度、費用の一部を助成しています。早期発見するため、検診を受けましょう。

詳細：保健センター
【電話】385-5252