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誕生20周年記念特集 地域でつなぐ江別小麦めん

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北海道江別市

江別市は市域の約4割が農地で、稲作や畑作など農業が盛んなまちです。特に小麦は、石狩管内でも有数の産地であり、中でも有名なのは、独特な風味ともちもちした食感を持つ「ハルユタカ」という品種です。市内で初冬まき栽培という技術が普及し、収穫量が安定したことで、江別は「ハルユタカ」の一大産地となりました。
江別小麦をブランド化しようという取り組みから誕生したのが「江別小麦めん」。江別産ハルユタカを50%以上も配合して作られています。小麦の栽培だけでなく、製粉、製麺までの工程が江別で完結する100%江別産のご当地麺です。
江別小麦めんは、誕生から20周年を迎えました。ハルユタカの栽培を行っている生産者、製粉を行っている江別製粉(株)、製麺を行っている(株)菊水からお話を伺いました。

◆01 栽培
生産者 江別麦の会 会長
萩原 英樹(はぎわら ひでき)さん
ハルユタカは40年ほど前に誕生し、市内で栽培されるようになりました。当初は、雪解け直後の春に種をまき、8月上旬に収穫する、春まき栽培で作られていましたが、収穫前に雨が続いて病気になりやすく、収穫量が少なかったことで、「幻の小麦」と言われるようになりました。
ハルユタカは、独特の風味と食感を持つ優れた品種だったので「幻のままにしたくない」という農家の思いから、初冬まき栽培が試されました。雪が降る直前に種をまき、雪の下で発芽して冬を越す初冬まき栽培は、春まき栽培よりも早く収穫でき、病気の発生も少なく、収穫量を増やすことができたのです。
初冬まき栽培を市内農家に普及させたのは、「江別麦の会」の前会長である片岡さんでした。
「江別麦の会」は、江別産小麦の振興を目的として、小麦生産者、加工業者、農協、行政、研究機関などで構成される団体で、栽培技術の研究や普及、地元小麦を使った麺の開発、消費者に向けたイベント活動などを行っています。
私も、初冬まき栽培を片岡さんに教えてもらった一人です。同じ市内の畑でも、土壌の質が違うため、失敗を繰り返しながらだんだん栽培できるようになりました。
初冬まき栽培の難しいところは、種をまく時期を見極めることです。早すぎると、雪が降る前に発芽してしまい、越冬することができません。遅すぎると、雪が降り種をまけなくなるため、時期を見誤らないよう気を付けています。ただ、春にもう一度種をまくこともできるので、市内では春まきのハルユタカも栽培されています。気候も年々変化しているので、農家は気候に合わせながら、小麦を育てています。
作物は品種改良され、20年ほどで栽培される品種が変わると言われていますが、ハルユタカは未だに取って代わる品種が現れていません。ハルユタカの需要が続く限り、栽培し続けたいです。

◆02 製粉
江別製粉(株)
安孫子 建雄(あびこ たてお)相談役
小麦は収穫された後に乾燥、製粉することで小麦粉となり、麺やパン作りに使用できます。江別製粉(株)は、小麦を製粉する会社です。
40年ほど前までは外国産の小麦が主流で、道産小麦は外国産小麦の量を増やすために混ぜて使うくらいで、質が良いと言えず、積極的に使われるものではありませんでした。
家庭用小麦粉の販売が始まり、時代とともにお客様から「道産小麦のパンミックスがほしい」という声をいただきました。当初は、道産小麦で唯一、パン作りに向いているとされた「ハルヒカリ」という品種で作っていましたが、ハルヒカリの生産が終了になり、後継の品種として出てきたのが「ハルユタカ」です。ハルユタカで作ったパンを食べた時、色や味が他の小麦と全く違い、とてもおいしくて、衝撃を受けました。ただ、ハルユタカの栽培は難しく、収穫量が少ないのが問題でした。製粉会社でありながら、ほ場(小麦畑)に足を運び、生産者と共にポット栽培などを試していたところ、初冬まき栽培技術が普及し、収穫量が確保できるようになりました。
しかし当時は、大量の小麦を一気に製粉する設備しかなかったため、少量の江別産の小麦だけを製粉することができませんでした。生産者から「自分で栽培した小麦の粉(マイフラワー)を作ってほしい」といった声があり、少量の小麦でも製粉できる設備を作ることにしました。地元の鉄工所に頼み、部品を製造してもらって完成したのが、「F-ship(エフシップ)」という設備です。
「F-ship(エフシップ)」を導入したことで、地域限定・生産者限定の小麦粉が作れるようになり、その後、江別産100%の小麦粉を使った「江別小麦めん」が誕生することとなりました。

◆03 製麺
(株)菊水
杉野 邦彦(すぎの くにひこ)代表取締役会長
江別小麦めんの完成までの道のりは、最初から順調だったわけではありません。元々は22年前の「ラーメングランプリ」でハルユタカ100%の麺を使ったラーメンがグランプリを受賞したのがきっかけで、生産者、製粉会社、飲食店など小麦に関わるさまざまな人たちと一緒に、江別小麦めんの開発に取り組みました。粉の配合から、製麺方法など何度も試作と試食を繰り返して、2年がかりで完成しました。
北海道にある「札幌味噌ラーメン」「旭川醤油ラーメン」「函館塩ラーメン」などのご当地麺はどれもスープの味が主役になっていますが、江別小麦めんは麺そのものに特徴をもたせた唯一のご当地麺です。作り手の発想しだいで、ざるうどん風や生パスタ風など、和洋中さまざまなメニューを展開できます。そのため名称は「小麦ラーメン」ではなく、「小麦めん」となりました。
江別小麦めんは、数種類の品種をブレンドして作られていますが、ハルユタカは50%以上も配合されています。他には「ゆめちから」や「きたほなみ」が配合され、全て江別産の小麦で作られています。毎年収穫された小麦を最適なバランスで配合、製麺しています。
異なる立場や職種の人たちが関わり合い、お互いの強みを活かして江別小麦めんが生まれました。みんなで夢中でやってきたことが実を結んだとき、地域のつながりを感じました。
今では、市内の小学生が栽培、製粉、製麺を体験し、食の大切さや江別の農業を学ぶ「小麦追跡学習」が行われています。また、学校給食でも「江別小麦のラーメンサラダ」が提供されています。子どもたちが地元の良さを知り、地元に愛着を持つことで、江別小麦めんが地域の輪をもっと広げてくれることを期待しています。

◆江別小麦めんアレンジレシピコンテストを開催します
「江別小麦めん」を使ったオススメのアレンジレシピを募集します。大賞を受賞した方には、えべチュンら~めんセットをプレゼント。
詳細は市HPを確認の上、ご応募ください。
応募期間:8月1日(木)~10月31日(木)(必着)
応募方法:
(1)応募フォームから電子データで提出
(2)郵送で提出
(3)農業振興課に持参

詳細:農業振興課
【電話】381-1025

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