このコーナーでは、市立稚内病院の情報をお知らせします。
【小児科編】
学校や幼稚園等で特に冬から春にかけて流行する感染症のインフルエンザですが、昨年は春から夏にかけても流行しました。
今回はそんなインフルエンザについて、小児科から紹介します。
◆検査を受けるタイミング
インフルエンザの抗原検査(鼻の奥に細い綿棒を入れる検査)は、発熱してから丸1日経たないと正確な結果が出ません。最低でも発熱に気づいてから12時間経過していないと偽陰性(=感染しているのに陽性にならない)となる可能性があります。そのため、発熱してからの時間が短い患者さんには検査をお勧めしない場合があります。
日中・夜間に急な発熱がありインフルエンザの検査を希望される場合は、半日待って翌日の日中に受診してください。ただし、治療を行う場合は発熱から48時間以内に投薬を始める必要があるので、検査と治療を希望される場合は受診が遅れすぎないようにご注意ください。なお、コロナウイルスも検査のタイミングは同じと考えてください。
◆インフルエンザ治療薬
インフルエンザの治療薬は、熱が続く時間を短くし、重い合併症を予防する効果があります。「タミフル(R)」は、生後2週間以降なら赤ちゃんにも使用できる薬剤です。粉を吸い込む吸入タイプの「リレンザ(R)」「イナビル(R)」は、上手に粉を吸い込める年齢の子(多くは小学生以上)に処方されます。後者は治療が1回で済むため簡便です。ただ、もしも薬をうまく吸い込めない場合に別の薬を改めて処方することはできません。12歳以上の方であれば、1回の内服で治療が終了する「ゾフルーザ(R)」という錠剤も推奨されています。
以前、タミフルと異常行動の関係が疑われ10代の方への処方が制限されていました。しかし、現在は因果関係が明らかでなく、タミフルは全年齢の方に処方可能となっています。
◆インフルエンザの合併症
頻度が多い合併症に、熱性痙攣(けいれん)、熱せん妄、インフルエンザ脳症があります。普通の熱性痙攣は1~2歳の幼児に起こりやすいですが、インフルエンザでは稀に小学生以上のお子さんでも痙攣を起こすことがあります。また、高熱の際に「変なものが見える」「何かをひどく怖がる」「家族のことがわからない」など様々な症状が見られることがあります。一時的であれば「熱せん妄」と呼びますが、1時間以上続く場合や意識がはっきりしない場合、脳症を合併している可能性があります。このような様子があれば、夜間であっても医療機関へ連絡のうえ緊急受診してください。
問合せ:市立稚内病院 小児科外来
【電話】23-2771
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