学習支援(算数・数学)担当
S・M隊員
学び場で小学生の算数と中学生の数学を担当し、早いもので3年目を迎えました。地域おこし協力隊として学び場の学習支援を担当するのは今年度が最後になりますが、児童生徒の学力向上のために尽力する所存です。
以下に、過去2年間における中間総括と最終年度の目標を述べたいと考えます。
◆1 2年間における中間総括
(1)開講までの準備段階では、自主性を養うための「自習」という授業形態に懐疑的であった。児童生徒が果たして毎回1.5時間もの自習に耐性があるのだろうかと。私自身の考える理想形として、授業の前半はプリント学習、後半はその解説という形態を考えていた。
しかし、現在は、自習という形態がベストであったと感じている。児童生徒の自主性を養うことができたことは勿論、理解できない箇所をピンポイントで教えることができる効率の良さは一斉指導のプリント学習では難しかったと考えるからである。
(2)「質問」を積極的にする児童生徒の学力が伸びたと感じている。学び場は自主性を重んじ自習を推進しているが、わからない問題については我々学習支援員に質問して解決するシステムである。
しかし、毎回の授業で質問する児童生徒が固定化しているきらいがある。
(3)学び場で勉強している児童生徒の多くは、将来の明確なビジョンをもっている。このことが勉強するためのモチベーションになっていると考える。特に、小学生が大学の授業並みの1.5時間というロングスパンに集中し、落ち着いて取り組んでいることに感動すら覚える。
(4)残念ながら、年度の途中でリタイヤする児童生徒が多かったと感じている。特に昨年度に入会した児童生徒にその傾向が顕著であった。勉強に対する目的を見い出せない児童生徒にとっては、学び場の静かな環境下で1年間勉強することはかなり難しいと感じている。
(5)私個人においては、児童生徒の指導のための算数・数学の研修に時間をかけて取り組むことができたと考える。特に、指導経験が海外日本人学校での1年間程度しかない小学校の算数の研修には多くの時間を費やした。
また、私自身の学力向上と興味関心を満たす目的で、全国難関国公私立高校の約600題の入試問題に取り組み、かなりの成果を上げることができたと自負している。特に、難関私立高校の入試問題では、高校で履修するチェバの定理やメネラウスの定理等を用いて解決する問題が出題されていることに驚愕した。
◆2 最終年度の目標
(1)全ての児童生徒に質問を積極的にするよう促す。上記1(2)の好ましくない傾向は、その原因が性格に帰属すると考えられるため難しい面もあるが、学び場で勉強する効果が半減することを考えれば確実に指導しなければならないと考える。
(2)児童生徒に「独学の仕方を伝授」する。今年度が学び場等の塾に通う最後の年になる可能性のある児童生徒もいると考えられるため、家庭での学習の仕方を身に着けることができるよう指導する。
(3)児童生徒が何度も「成功体験を味わう(=理解できなかった問題が解けるようになる)」ことができるよう指導する。このことは、学力の向上における最大の要因であると考える。
(4)算数・数学の教師ではあるが、英会話の習得に注力する。理由は、(我々2名の学習支援員が過去に3年間在住した)南アフリカ共和国出身の小学6年生の児童が学び場に入会しており、彼と英語での会話も楽しみたいと考えるからである(学び場での算数の指導は日本語で行っている)。
当国から帰国して10年以上が経過し、私の英会話力のほとんどが忘却の彼方へ消え去ってしまっているため、彼との出会いを好機と捉え、時間を見つけて英会話の研修に励みたい。
(5)私自身の学力向上を図る目的で、数学の研修に更に力を入れる。具体的には、大学入試の数学の問題に取り組むことを計画している。
今年度の学び場の在籍者数は、次の通りです。
今年度も、児童生徒の「分かった!」、「解けた!」という声を多く聞きたいと考え、微力ながら彼らの学力向上のために尽力したいと考えています。そして、理解できた際の彼らの嬉しそうな表情が溢れる学び場を運営したいと考えます。
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