■東千葉メディカルセンターコラム「腰痛の“Red Flags(危険信号)”にご用心」
整形外科 青木 保親
さて、“Red Flags”ってなんでしょうか?
英語の訳としては「危険信号」ですが、「不吉な予感がするもの」というニュアンスがあるようです。腰痛診療ガイドラインに記載されている“腰痛のRed Flags”に該当する腰痛は注意が必要です(図:腰痛のRed Flags)。今回はそのうちの3点だけ解説させていただきます。
まず、項目1の“発症年齢”です。高齢者のぎっくり腰は要注意です。特に高齢女性は骨が弱い方が多く、ぎっくり腰の原因が背骨の圧迫骨折である場合がありますので、注意が必要です。
次は、項目2の“時間や活動性に関係のない腰痛”です。腰痛患者さんから、「この腰痛は内臓が原因ではないですか?」という質問を受けることがあります。“活動性に関係のない腰痛”、つまり安静でも痛みがあり、動くことで増強しない腰痛は、整形外科の病気ではないこともあるので内科への受診もご検討ください。
さて、最後に項目7の“広範囲に及ぶ神経症状”です。腰痛に付随する神経症状というのは、下肢の痛み・しびれ・力が抜けてしまう状態を指します。特に広範囲(例えばふとももから足先までとか)で歩けないほどの激しい下肢の神経症状は、放置すると重症化することもあります。神経の障害はレントゲンでは評価ができませんので、そのような場合はMRI検査を行って、腰椎の中にある神経の状態を確認することをお勧めいたします。
当院放射線部では国内トップレベルの放射線技師が最新のMRI機器を用いて画像診断を行っております。“広範囲に及ぶ神経症状”でお困りの方は、当院整形外科、もしくはおかかりのクリニックからもMRIの共同利用ができることがありますので、ぜひご相談ください。
◇腰痛のRed Flags
1.発症年齢(20歳以下または55歳以上)
2.時間や活動性に関係のない腰痛
3.胸部痛
4.癌、ステロイド治療、HIV感染の既往
5.栄養不良
6.体重減少
7.広範囲に及ぶ神経症状
8.構築性脊柱側弯
9.発熱
*腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版より一部改変
問合せ:東千葉メディカルセンター
【電話】50-1199
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