■市指定有形文化財(彫刻)
『木造菩薩形坐像(もくぞうぼさつぎょうざぞう)』
所在地:白浜町白浜7929(白浜地区)
所有者:大門院(だいもんいん)(真言宗)
□山あいの集落に伝わる平安時代の仏さま
大門院は、白浜地区の滝山(たきやま)という集落にあるお寺です。創建の由緒は不明で、現在は小さなお堂が一棟建っているだけですが、かつては仁王門なども有していました。
この木造菩薩形坐像は、大門院の本尊として厨子(ずし)の中に安置されている高さ53cmの一木造の仏像です。カヤ材で作られた胴体には内刳(うちぐ)りが施されておらず、頭体幹部と脚部が別々に作られています。全体的な形状は良好に保たれていますが、彩色(さいしき)が剥がれ落ち、指先や鼻先などの細部は欠失しています。
この像は、頭部に帯状の天冠台(てんかんだい)を被り、その上に筒状の宝冠(ほうかん)を載せた姿をしていることから、一見すると菩薩と呼ばれる尊格(そんかく)(仏の種類)の仏像に見えます。しかし、両手の指を組んで定印(じょういん)を結び、結跏趺坐(けっかふざ)という座り方をしている点や、衣服の胸がはだけている点から、真言宗で紅頗梨法(ぐはりほう)という教えの本尊として祀られる「宝冠阿弥陀如来(ほうかんあみだにょらい)」と推定されています。
全体的な構造や作風は、平安時代前期の仏像の特色を備えていますが、肩の形や衣文(えもん)(衣服のひだ)などの細部に、より新しい時代の特徴が見られるので、作られたのは平安時代中期にあたる11世紀初頭と考えられます。宝冠阿弥陀如来としては、県内でもかなり古い作例です。
□公開
非公開
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