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〔特集〕長板中形の世界

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千葉県君津市

人間国宝・松原伸生-受け継がれる伝統-

市内在住の藍形染(あいかたぞめ)作家・松原伸生さんが国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。市内初の人間国宝・松原伸生さんが受け継ぐ伝統と技術をご紹介します。

令和5年10月18日、文部科学省は、江戸時代から伝わる染色法「長板中形」を国の重要無形文化財に指定し、市内在住の藍形染作家、松原伸生さんを重要無形文化財の保持者(人間国宝)に認定しました。長板中形は35年ぶりの指定、県内で重要無形文化財保持者が誕生するのは20年ぶり、市内では初めてのことです。今月号の広報きみつでは、日本が誇る工芸技術を受け継ぐ、松原さんの思いと伝統の技、11月中旬から市内で開催する企画展についてご紹介します。

■伝統を受け継ぐということ
文化庁からの連絡で重要無形文化財保持者の認定へ答申されたことを聞いた瞬間「私が所属している(※)日本工芸会の大先輩方の生き様を知っているだけに身の引き締まる思いを超えて、身の固まる思いでした」と話す松原さん。「保持者認定は、決してお褒めの表彰ではないと思っています。保持者の認定には、自らの技術を磨き、伝承していくという重要な意味があり、これまでにない責任の重さを感じております」と話す声からは、伝統を受け継ぐことへの決意が伝わってきました。
答申の情報が一斉に報道されると全国各地から松原さんのもとへ、たくさんの喜びの声が届きました。「私の父に藍形染めを習っていた方や私の幼少期を知る方、中には電話口で感極まって、言葉にならない喜びを伝えてくれた方もいらっしゃいました。それほどの方々に喜んでもらえるというのはとても恵まれていることで、とてもありがたいことです」と松原さんの温かな人柄が感じられるお話を聞かせてくれました。

■地元・君津での企画展に向けて
台風災害やコロナ禍の影響で延期していた市内での企画展開催がついに決定しました。松原さんは「このようなめぐり合わせで地元・君津で企画展を開催できることにありがたみを感じています。東京で生まれ、19歳で君津市に移住して39年。周囲の環境に支えられて、藍形染を続けることができました。これまでなかなか地元の皆様に自身の仕事を見てもらう機会がなく、少し気恥ずかしさもありますが、皆様のおかげでここまでこれたということを今回の企画展を通じて、ご報告したいと思っています」と話します。
松原さんが愛する君津の地で開催する企画展「長板中形松原伸生の伝統と展開」。ぜひご来場ください!

松原伸生さんの企画展に関する情報は、本紙次のページで詳しく紹介しています。

※(公社)日本工芸会:重要無形文化財保持者を中心に伝統工芸作家や技術者らで組織されている団体

■長板中形とは?
型紙を使った日本の伝統的な染色法の一つです。長板は、作業台となる約6.5mの長い板、中形は柄の大きさのことを意味しています。長板に布生地を張り付け、模様が彫られた型紙を載せて、柄(白くなる部分)をつけるために防染用の糊を置いていきます。模様が続きになるように型紙をぴたりと合わせ、全長13mの布生地の最後までこの作業を繰り返します。最大の特徴は、生地の裏面にも模様をつけることです。両側から防染することで、白さの際立つ仕上がりになります。

■藍形染の工程を紹介します
松原さんの職人技が光る藍形染工程の一部を紹介します。
1)糊作り
もち米の粉・石灰・糠・水を混ぜて布生地に置く糊を作ります。季節や天候によって、素材の状態が変わるため、長年の経験と感覚が問われる作業です。
2)型付
型紙を使って布生地に糊を置いていきます。模様がずれないように型紙を合わせて、表面だけでも約90回、この作業を繰り返します。
○長板中形の最大の特徴
布生地の裏面にも模様をつけること。透けて見える面の模様に合わせて糊を置きます。
3)藍染
布生地を藍の染液が入った甕に浸けます。浸ける時間や回数は、その時の状況を見ながら判断します。

松原さんの君津暮らしを特集した過去の広報きみつもぜひ!ご覧ください!

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