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長南町認知症サポート医〔上野秀樹先生〕の認知症見立て塾[第29回]

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千葉県長南町

アルコールは古くから私たち人類と共にある薬物です。古代メソポタミアで約6千年前にはワイン、約5千年前にビールが飲まれていたという記録があるそうです。
私たちが経口摂取したアルコールは、胃で20〜30%が吸収され、残りが小腸で吸収されます。90%が肝臓で代謝され、残り10%は汗や呼気、尿として排出されます。肝臓が処理できるアルコール量は決まっており、体重60〜70kgの人で1時間に5〜9g程度です。
例えば、体重65kgの人が日本酒2合を飲酒した場合、肝臓が代謝し終わるまでに5時間弱から8時間ほどかかるという計算になります。吸収されたアルコールは体内でアセトアルデヒドに代謝されます。その後に酢酸へと代謝され、最終的に炭酸ガスと水に変わります。飲酒すると顔が赤くなったり、動悸や吐き気を催したりすることがありますが、これはアセトアルデヒドの影響です。お酒に強い、弱いということがありますが、これはアセトアルデヒドを分解する酵素の働きによります。分解酵素の働きが強い人は、顔が赤くなったり、飲酒して気持ち悪くなったりしない「お酒に強い人」ということになります。
日本人では、分解酵素の働きが強いのは人口の約6割です。残りの約4割の人は分解酵素の働きが弱く、少量の飲酒でアセトアルデヒドが体内にたまり、顔が赤くなったり、気持ちが悪くなったりします。分解酵素が全く働かず、飲酒できない人も約4%います。
アルコールはストレスの解消や人間関係の円滑化にとても有効な薬物ですが、大きな問題を起こす可能性がある薬物でもあります。大きな問題、それはアルコール依存症です。
多量飲酒を続けていると、誰でもアルコール依存症になる可能性があります。アルコール依存症は飲酒量のコントロール障害で、飲酒量のコントロールができない状態なので、その治療は断酒しかありません。いったん依存症になってしまうと、断酒を継続するのは至難の業なので、その後の人生の多くを「アルコールとの戦い」に費やさざるを得なくなります。
また、長期大量の飲酒はアルコール精神病、アルコール性認知症を引き起こし、身体的には、肝機能障害、糖尿病、心臓病などの原因にもなります。
健康日本21では、アルコール依存症になりにくい飲酒として、一日平均純アルコールで20g(日本酒で1合、ビールで500ml)を提案しています。
節度ある適度な飲酒で、実りある人生を手に入れましょう。

■YouTube「長南町福祉チャンネル」が開設されています。
上野先生のこれまでの解説動画は本紙掲載の二次元コードからご覧ください。

■上野先生から認知症について学ぶ学習会を開催します。
ぜひご参加ください。
日時:12月20日(水)15時〜16時(要事前申込)
場所:保健センター

問い合わせ(申込先):福祉課包括支援センター
【電話】46-2116

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