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長南町認知症サポート医〔上野秀樹先生〕の認知症見立て塾[第30回]

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千葉県長南町

あけましておめでとうございます。
今回は、昨年のもの忘れ外来診療で感じたことを書きたいと思います。
昨年1年間で最も印象に残っているのは、4年目に入った新型コロナウィルス感染症の影響の大きさでした。2020年3月頃から日本でも流行が始まった新型コロナウィルス感染症、何回かの緊急事態宣言を経て、私たちの生活様式を大きく変えました。人と人との接触で広まっていく感染症、予防のために人と人の直接的な接触の自粛が強く求められました。こうした対策は、感染症の広がりを抑える点では大きな成果を上げたのですが、特に高齢者でその影響は年を追うごとに大きくなっていると感じています。カラオケなどのイベントや会合の自粛、食事のときに会話を控える黙食の推奨、人と人とのコミュニケーションの機会が大きく減少しました。
外出の機会の減少や人とのコミュニケーションの減少は認知機能低下の大きな原因となります。私の外来に物忘れを訴えて受診する方の中でも、コロナ禍での新しい生活様式が影響していると考えられる方が増えています。こうした方が受診した場合には、まず認知機能障害の程度を心理学的検査ではっきりとさせます。認知機能障害の原因は一つではなく、多種多様です。
もの忘れ外来では、その原因を探っていきます。頭部CT、採血検査は重要な情報を提供してくれます。原因によって対応方法が変わってきます。この連載でも紹介してきたいわゆる「治る認知症」が原因となっている場合には、その治療を行います。
脳梗塞などで急にたくさんの神経細胞が減少してしまい、認知症の状態になる方もいますが、多くのケースで物忘れなどの認知機能障害は、ゆっくりと進行していきます。そして、下記の図にあるように軽度認知障害の状態であれば、生活様式を変えて、適切なリハビリをすることなどで健常な状態へと戻る可能性があるのです。
「年相応の物忘れ」と呼ばれることもある軽度認知障害は、そのまま放置して同じような生活を続けていくと、認知症の状態へと進行していく可能性が高まっていきます。「年相応の物忘れ」が見られるようになったら、これまでの生活様式を変える大きなチャンスなのです。


*主観的認知機能低下
➡本人は、物忘れなど認知機能低下を感じているが、検査では何の異常も認められず、他人は気づかない状態
*軽度認知障害
➡認知症の前段階記憶力は低下しているが、他には症状がなく、生活上の支障もない状態~いわゆる年相応の物忘れを含む

■YouTube「長南町福祉チャンネル」が開設されています。上野先生のこれまでの解説動画はこちらからご覧ください。
※本紙掲載の二次元コードから

■上野先生から認知症について学ぶ学習会を開催します。
ぜひご参加ください。
日時:1月17日(水)15時〜16時(要事前申込)
場所:保健センター

問い合わせ(申込先):福祉課包括支援センター
【電話】46-2116

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