◆「ぼんやりする」という病気
脳神経外科 医師 金岡杏純
「主人が最近、ボーとしてて、言ったことも覚えてないの。認知症でしょうか」
外来でこのような相談を受けることがあります。もちろん、認知症の場合もありますが、中には「てんかん」という病気が隠れていることがあります。てんかんは子供に多い病気というイメージがあるかもしれませんが、実は、小児と高齢者の二峰性で高齢者にも多い病気です。また、100人に1人が発症すると言われており、決して珍しい病気ではありません。
てんかんの典型的な症状はけいれんです。けいれんは手足や体全体が自分の意志とは関係なく突っ張ったり、ガクガク震えたりする状態で、数秒~数分程度持続します。ただ、すべてのてんかんがけいれんを伴うわけではなく、中にはけいれんが出にくいタイプのてんかんがあります。「側頭葉てんかん」というてんかんは高齢者に多いてんかんの一つで「1点を見つめてぼんやりする」、「口をもごもごする」、「手をもぞもぞさせる」などの症状(発作)が出ることが特徴です。こうした症状は数分程度持続し、発作時の記憶がないため、認知症と誤診される場合もあります。
てんかんは抗発作薬(抗けいれん薬)の治療で7割の方が、発作が抑制されますが、残りの3割は複数の薬を内服しても発作がコントロールされない難治性てんかんとなります。難治性てんかんの中には手術により発作消失・改善が期待できるものもあり、特に側頭葉てんかんは手術での発作消失は8割以上と言われています。
上記のような症状に心当たりがある方はぜひ一度ご相談ください。
問合せ:医療法人塩田記念病院
【電話】35-0099
<この記事についてアンケートにご協力ください。>