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「香取遺産」vol.210

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千葉県香取市

■堀之内(ほりのうち)4号墳の円筒埴輪棺(えんとうはにわかん)
堀之内4号墳は、佐原区の西田部(にしたべ)地区に所在していました。当時広がっていた「香取の海」を臨む台地に築かれた古墳です。開発事業に先立ち、昭和49年に発掘調査が行われました。
4号墳は、墳丘がほとんど残っておらず、死者を埋葬した主体部(しゅたいぶ)も失われていました。調査が進むと、墳丘に沿って掘られた周溝(しゅうこう)が見つかり、径約21mの円墳であることが分かりました。
北側に当たる周溝の限られた範囲から、埴輪が集中して出土しました。人物や鶏などをかたどった形象(けいしょう)埴輪、筒状の形で外面に複数の凸帯(とったい)をめぐらし、対になる透孔(すかしこう)をあけた円筒埴輪、円筒埴輪の上部が大きく開く朝顔形(あさがおがた)埴輪です。
埴輪は、本来古墳の表面に並べ立てるものですが、東側の周溝から円筒埴輪を横に倒して棺に代用したものが出土しました。これを円筒埴輪棺と呼んでいます。
棺は周溝の底部に掘られた長さ134cm、幅101cm、深さ27cmの方形の穴に納められていました。棺の内部からは、人骨や副葬品は出土しませんでした。
棺本体は2個の円筒埴輪を継ぐように重ね合わせ、両端の開口部と透孔は、別の円筒埴輪2個分の破片で蓋をするように覆っていました。これらの円筒埴輪は、その特徴から6世紀代のものです。
使用された円筒埴輪は、高さ約47cm、最大径約29cmです。最小径は一つが約15cm、もう一つが約19cmです。棺本体は、重ね合わせた状態で長さ約77cmです。棺に納められた人と4号墳本来の被葬者(ひそうしゃ)との関係などは不明ですが、棺本体の大きさから成人ではない可能性がありそうです。
円筒埴輪棺は、主に茨城県、栃木県、埼玉県など北関東で出土例が報告されています。香取市内での出土は、堀之内4号墳の一例だけですが、「香取の海」を介した北関東との交流や影響を示すものと考えられます。
発掘調査報告書は、昭和56年に「千葉県佐原市 堀之内遺跡」として刊行されています。

問合せ:生涯学習課
【電話】50-1224

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