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香取遺産(vol.214)

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千葉県香取市

■旧宅の足元にある伊能家の遺構
国の史跡である伊能忠敬旧宅書院の基礎改良工事に伴い行われた立会(たちあい)調査について紹介します。
調査の目的は、書院の基礎構造の確認と忠敬の孫の忠誨(ただのり)の実測により作成されたとされる文政7(1824)年の「伊能家実測図」で示されている建物跡を確認することでした。
書院の基礎の調査は、柱の芯から半分を掘り下げて構造を確認する方法をとりました。その結果、書院の基礎は蝋燭地業(ろうそくじぎょう)と
坪地業(つぼじぎょう)の2種類であることが確認されました。蝋燭地業とは杭工事のことです。現在の地表面から1mほど掘り下げて松杭を打って根石を置き、さらにその上に杭状の石を立てて礎石を置いていました。坪地業とは、柱の位置に穴を掘り、瓦などを混ぜながら突き固めていく基礎工事です。50cmほど掘り下げてから瓦片や玉砂利などを混ぜて突き固め、その上に礎石を置いていました。
書院の南側では、書院が建てられる前の建物跡が確認されました。この建物は、桁行3間、梁行2間(5・4m×3・6m)の規模と推定されます。柱の立てられた位置には坪地業が施されていました。この坪地業は貝殻(かいがら)を充填(じゅうてん)して突き固める貝殻地業というものでした。また、焼土、炭化物、灰などが充填された隅丸長方形の遺構が確認されています。地上にどのような構造物があったかは分かりませんが、おそらく燃焼施設の跡ではないかと考えられます。そして、この建物跡の位置は、文政7年の「伊能家実測図」にも記載されている建物の位置と符合することから、改めてこの図の正確さを肯定するとともに、文政期の伊能家の遺構が今も旧宅の足元に保存されていることを教えてくれています。

問合せ:生涯学習課
【電話】50-1224

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