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世界遺産を読み歩くー学芸員通信(全12回)ー

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和歌山県那智勝浦町

「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録20周年記念連載
世界遺産を読み歩く ー学芸員通信(全12回)ー

■第3回「どんな世界遺産があるの?」
現在、世界遺産は1,199件(令和5年10月時点)が登録されています。世界遺産には、建造物や遺跡を対象とする「文化遺産」、地形や地質、生態系を対象とする「自然遺産」、その双方の条件を併せ持つ「複合遺産」の3種類があります。日本国内では文化遺産20件、自然遺産5件の計25件が登録されています。これは国別の世界遺産登録数でみると、11番目の数です(1位はイタリアの59件)。
日本国内の世界遺産について、文化遺産では日本最初の世界遺産でもある「姫路城」のほか「厳島神社」などが登録されています。
自然遺産は「屋久島」、「白神山地」、「知床」、「小笠原諸島」、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の5件です。そして日本国内では、この5件以外に自然遺産の候補地としてあげられる場所はありません。そのため、奄美・沖縄が日本における最後の自然遺産だとみなされています。
今後も文化遺産は増える可能性がありますが、自然遺産は5件のままである可能性が高いということですね。
では、日本国外の世界遺産にはどのようなものがあるでしょうか。文化遺産では、第1回でも紹介したフランスやスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」があります。これは、同じ巡礼路である「紀伊山地の霊場と参詣道」と共通点を持つ世界遺産で、信仰の道といえるものでした。ほかにも、世界には「路」としての歴史的な背景を持つ文化遺産があります。例えば、交易の道として利用された「シルクロード:長安―天山回廊の交易網」、海の交易路であるフランスの「ミディ運河」、そして、鉄道ではオーストリアの「センメリング鉄道」などがあります。文化遺産にはこれらのほか、インドの「タージ・マハル」、サグラダ・ファミリアで有名な「アントニ・ガウディの作品群」などが登録されています。
自然遺産では、最初の世界遺産の一つであるアメリカの「イエローストーン国立公園」のほかオーストラリアの「グレート・バリア・リーフ」などが有名です。
日本での登録がない複合遺産では、ペルーの「マチュ・ピチュ歴史保護区」などがあります。
今回は、日本国内外の世界遺産について、ほんの一部ですが紹介しました。これらの遺産は「顕著な普遍的価値」が認められ、人類共通の宝となったものです。そして、「紀伊山地の霊場と参詣道」もそのひとつです。
では、「紀伊山地の霊場と参詣道」で認められた価値とはなんだったのでしょうか。次号から数回に分けて、その価値についてお話します。

文・前田 愛佳(学芸員)

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