日本仏教の聖地「金剛峯寺」のお坊さんのおはなし
◆桧、檜、檜木(ヒノキ科) 花ことば「不滅、不死」
前回まで高野六木(こうやりくぼく)のひとつ杉についてお話ししましたが、今回は高野六木のひとつ「ヒノキ」についてお話ししてまいります。ヒノキ科ヒノキ属に分類される常緑高木になる針葉樹の一種で多く人工林として植栽されています。
ヒノキの語源は、尊く最高のものを表す「日」をとって「日の木」を由来とする説と、古代において木をこすって火を起こすのに用いられたので「火の木」という意味だという説とあり、あるいは神宮の用材に用いられることから「霊の木」のいずれかが語源と考えられるという説があります。
また「柀(まき)」の字が当てられることもあり、富草本檜(とみくさほんひ)・香柏(こうはく)という別称や古名もあるようです。
常緑針葉樹の高木。樹高は20〜30メートルほどになり、大きいものでは高さ50メートル、直径2.5メートルになるものも存在し、直幹性で樹皮は赤褐色で、帯状に剥がれます。
ヒノキは、日本では建材として最高品質のものとされており、木材の特長として、色が白く赤みを帯び、加工が容易な上に緻密で狂いがなく、耐水性・耐朽性があります。正しく使われたヒノキの建築には1000年を超える寿命を保つものがあるようで、ヒノキ材の強度は伐採後徐々に増加し、300年後に最も高い強度を示し、1000年後に伐採時の強度に戻るという説があります。現在では一般家庭でも多く使われ、特に和式の建築物に高級材として使用されています。揮発性のヒノキチオールを含んでよい香りがあり、木肌のぬくもりと芳香が好まれて、ヒノキ材を浴槽にした檜風呂や簀の子も作られ、また材木だけではなく樹皮も寺院や堂塔の屋根の材としても用いられています。
次回は引き続きヒノキが仏教や密教にどういった関わりをするのかお話ししてまいります。
つづく
問合せ:高野山真言宗 総本山 金剛峯寺
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