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高野山の植物 6

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和歌山県高野町

日本仏教の聖地「金剛峯寺」のお坊さんのおはなし
~仏教行事・密教行法に関わりのある植物~

◆櫨(はぜ)、黄櫨(はぜのき)(ウルシ科) 花ことば「真心」「賢明」
前回も、ウルシ科の植物「櫨(はぜ)」を主に密教の修行法について紹介させていただきましたが、今回は仏前を飾る荘厳具として、どのようなウルシ塗りの物があるのか紹介してまいります。

はじめに密教寺院の道場には前回ご紹介した護摩壇の他に大壇(だいだん)や密壇(みつだん)と称される仏様を供養するための荘厳があります。これは本来マンダラといってインドでは壇といいますと土壇(牛糞を混ぜた土を固めて作ったもの)でしたが、中国を経由して木製の箱形や足を付けた方形に変化した壇が日本に伝わり、現在では花形壇(けぎょうだん)や牙形壇(げぎょうだん)などと呼ばれるいくつかの形状の壇が据えられています。

壇上には主に金属製の仏具が並べられ、それぞれが三摩耶形(さまやぎょう)といって仏様を表しています。壇上に据えられる仏具に「塔」がありますが、その形は五輪塔(ごりんとう)をはじめ多宝塔(たほうとう)・舎利塔(しゃりとう)・瑜祇塔(ゆぎとう)など、この他にも寺院によって様々です。

壇外には四燈といって4本(または2本)の燭台が据えられ壇上に置かれる燭台は元来無かったものですが、手元灯りとして据えられたものが現在標準として置かれるようになっています。

仏教の法灯や伝統工芸を含め、様々な知識・技術・材料など広い分野において今までは身近だったものが少しずつ縁遠くなってきています。これら文化の継承について後継者の育成や支援など、問題視されている事が多くありますが途絶えてしまえば復興することが難しくなります。現代に継承者が生きている間に受け継がれていくこと、未来に繋がっていく為の仕組みが整えられることを願ってやみません。

日々の供養においても重要な役割を果たすウルシ科の木ですが、このように多く高野山の生活の中に溶け込んでいることがお解りいただけたかと思います。

寺院にお参りの際、それぞれのお寺によって荘厳具にも個性があり見る価値があると思います。ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

つづく

問合せ:高野山真言宗 総本山 金剛峯寺
【電話】0736-56-2012

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