『ドライマウス(口腔乾燥症)とは』
藤井 聡弘(ふじい さとひろ)先生(ココネ歯科医院)
朝起きた時に「口の中が乾いているな」と感じることはありませんか。それはドライマウス(口腔乾燥症)かもしれません。
ドライマウスとは、唾液の分泌が低下し、口の渇きを示す病態です。唾液は、成人では1日に約1.5ℓ分泌されます。唾液には、口内の洗浄、抗菌、潤滑作用などがあり、大事な役割を果たしています。
ドライマウスの原因はさまざまです。多くは、加齢により唾液分泌量が低下するためと考えられています。全身の病気では糖尿病、腎障害、貧血、脱水、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、エイズなども原因として挙げられます。
薬剤による副作用では降圧剤、抗パーキンソン病薬、抗不安薬、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤などの服用も原因とされます。
また、ストレスや抑うつなどの精神状態との関連もあります。
これ以外にも、放射線治療や唾液腺炎、唾液腺腫瘍により症状が現れることがあります。
治療は、生活指導や対処療法が中心です。保湿力の高い洗口液や保湿ジェル、夜間の保湿用マウスピースなどを症状に応じて処方します。積極的な水分補給も有効です。
また、実際に私の日々の診療において舌や口を動かすトレーニング、唾液腺マッサージの効果を感じており、ぜひ試してみることをお勧めします。
◆1日約3分間の大唾液腺マッサージ
(1)舌下腺
顎の先のとがった部分の内側が舌下腺です。両手の親指をそろえ、顎の真下から舌を突き上げるようにゆっくり押し上げます。
(2)顎下腺
下あごの骨の内側の柔らかい部分が顎下腺です。左右の耳の下から顎先まで、親指で何か所か押していきます。
(3)耳下腺
耳たぶのやや前方、頬骨の下あたりに人差し指から小指まで4本指をあて、円を描くようにまわします。
以上、3つの大唾液腺マッサージは、お風呂上りで体が温まった状態で、リラックスして行いましょう。唾液の分泌は全身の健康の目安になります。
ドライマウスの症状が気になる人は、ぜひ近隣の歯科医院を受診することをお勧めします。
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