歴史さんぽ 百三七

49／52

『中世のムラ　長宮遺跡』

長宮遺跡は、長宮一丁目から二丁目を中心に広がっていて、遺跡の西側には長宮氷川神社が鎮座しています。長宮遺跡の発掘調査で、縄文時代前期の住居跡や約500年前の中世末～近世初頭の集落跡が見つかっています。
令和4年度に実施した第62地点の調査では、井戸跡7基や溝4条などの遺構(いこう)が発見され、その中からお椀や鉢などの食器類や板碑(いたび)という中世特有の石塔(せきとう)の破片、古銭(こせん)などたくさんの遺物(いぶつ)が出土しました。
中でも1つの井戸跡から見つかった石臼は割れていて、表面に黒い煤(すす)が付着していました。さらに井戸の底からは炭や焼けた土も見つかっています。
長宮遺跡だけではなく市内の他の遺跡でも、井戸跡から割れた石臼が見つかる事例があります。諸説ありますが、井戸の神をしずめるために石臼を割るという民間習俗(みんかんしゅうぞく)と関連付けて、井戸にまつわる儀式が行われた痕跡と考える説もあります。
9月3日(火)から上福岡歴史民俗資料館で始まる最新出土品展(22ページ参照)では、出土した石臼などを展示します。また、長宮遺跡の他にも令和4年度に発掘調査した成果や出土品も紹介しますので、ぜひご覧ください。

*****

上福岡歴史民俗資料館
[ACCESS]
・長宮1・2・11
・上福岡駅東口から徒歩20分、ふじみん号Aコース「福岡小学校」下車徒歩1分
・開館時間は午前9時～午後4時30分(月曜日と年末年始を除く)

問合せ：上福岡歴史民俗資料館
(【電話】049・261・6065)