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特集 みらいのしずく(2)

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埼玉県三芳町

■平地林が育む、恵みの水。
平地林と短冊形の畑が広がる上富地区。
「みらいくんの雫」が汲み上げられたこの地でおいしい地下水のひみつを探ります。

平地林を見上げる渡辺秀行さん。キツツキの巣があるなど、生き物の住処にもなっています。渡辺さん宅の平地林は樹木だけでなく竹があるのが特徴。孟宗竹という種類で竹の子として食べることもできます。
※詳しくは本紙をご覧ください。

緑の木々や竹が木陰をつくる平地林。「ここは先祖たちが木を植えて一から作った林なんです」と話すのは渡辺秀行さん。上富の地で父の貴司さんとともに、代々続く農業を営んでいます。

■平地林がくれた水
今から約360年前、上富を含む三富地域は萱(かや)が生い茂る荒地が広がっていました。やせた土地を開拓すべくやってきた農民たちが、厳しい環境の中で特に大切にしてきたのが水です。
「近くに水源がなく、開拓当初は柳瀬川まで汲みに行くこともあったと聞いています」と話すのは貴司さん。後に掘られた井戸も約20mの深さ。数リットルの容量しか入らない釣瓶桶で一杯一杯汲み上げて大切に使いました。その地下水を蓄えるために一役買っていたのが他でもない平地林です。浸透力が高い平地林に降った雨は大地にろ過されながら地下水を蓄え、冬の落ち葉は堆肥にすることで保水性の高い土壌を作り上げる―。自然の力を余すところなく活用した「武蔵野の落ち葉堆肥農法」が上富に恵みの水をもたらしました。

■水と土がつなぐ未来
江戸時代から伝わるこの農法を今も続けているという秀行さん。平地林などの土にしみ込んでろ過された地下水は、現在は町の水道水の一部としても活用されています。おいしい地下水を生み出すためには、その場所の環境が守られていることが大切。「自分たちが続けている農法がきれいな地下水をつくることにも役立っていたら嬉しいですね」と笑顔で語ります。自然の力から生まれる水、土、そして野菜。その営みは伝統をつなぐ人々によって未来へ受け継がれていきます。

■「想い」はおいしさ
平地林が根を張る、上富の地下深くでろ過された「みらいくんの雫」。その特徴について「水道水とは違い、水本来のおいしさを感じられると思います」と話すのは、ボトル詰めを行った(株)秩父源流水の福嶋大祐さん。繊細な水の味をよりおいしく感じるための秘訣を聞くと「ぜひ、三富新田の自然や歴史に想いを馳せて飲んでみて」とボトルを手に微笑みます。皆さんも「みらいくんの雫」を飲んで、爽やかな夏の平地林に想いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

▽水を蓄える緑のダム 平地林
土壌が雨水を浸透させる能力
裸地:79mm/時間
草地:128mm/時間
森林:258mm/時間

森林が雨水を浸透させる力は草地の2倍、裸地の3倍。
平地林はたくさんの水を吸収する力を持っています。
参考:林野庁ホームページ「水を育む森林のはなし」

◆〔TOPICS〕開拓当時の人々を潤した“甘露水”
開拓前、水のない荒野だった三富地域。開拓時、水不足に対処するため、上富地区に4か所の井戸が掘られました。その一つが今も多福寺境内に残されています。多福寺の井戸の水は“甘露水”と呼ばれ、人々の喉を潤しました。
参考:多福寺「元禄の井戸」

◆もっと知りたい 武蔵野の落ち葉堆肥農法
▽砂漠も潤す!落ち葉堆肥農法の力
上富に水をもたらした「武蔵野の落ち葉堆肥農法」は、世界の砂漠化防止にも役立てられています。植林や農業を一体で行うという農法の特徴をヒントに、チリのサンペドロ村で砂漠化防止を実施。実際に成果が上がり、砂漠だった場所に緑が生い茂りました。

◆〔VOICE〕三芳が生んだ地下水のおいしさを味わって
地下水は地中でろ過される過程で様々なミネラルがしみ込むので、地域によって特徴が異なります。常温で飲むと味の違いがわかりやすくなるので、ぜひ「みらいくんの雫」のおいしさを感じてみてください。
(株)秩父源流水 福嶋大祐さん

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