■進む地球温暖化に今できることは―
改正気候変動適応法が成立し、令和6年4月24日、熱中症特別警戒アラートの運用が始まりました。日本一暑い場所として知られる埼玉県。今年の夏も、過去に例のない危険な暑さとなる可能性が高まっています。
近年の研究により、猛暑や強大な台風、豪雨などによる自然災害の増加をもたらす地球温暖化の原因が、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスであることに疑いの余地が無いといわれるようになりました。
本市では、地球温暖化防止対策を推進し、2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにすることを目指す「加須市ゼロカーボンシティ宣言」を令和5年3月に表明。電気自動車・ハイブリッド車の公用車導入や電気自動車充電設備の整備、市役所本庁舎の照明のLED化などに向けて、取り組みを進めています。
温暖化という地球規模の問題に対し「私たち個人の行動では何もできないのではないか」と疑問を感じている方も多いかもしれません。私たちにできることは何でしょうか。
「CO2の排出量を実質ゼロにする」とは、CO2の排出量から、森林などによる吸収量を差し引いて、合計をゼロにすることを意味しています。
(出典…環境省)
・令和3年埼玉県の部門別CO2排出量
県内では産業、業務その他、家庭、運輸それぞれが4分の1を占めており、家庭も事業者も共にCO2排出削減の課題を抱えているといえます。
(出典…埼玉県環境科学国際センター)
■一人ひとりの選択が重要です
嶋田知英さん 埼玉県環境科学国際センター 温暖化対策担当 研究員
残念ながら、さまざまな対策を行ったとしても、当面、温暖化を完全に止めることは難しいと考えられています。そのため、温室効果ガスの排出量を減らすだけではなく、気温上昇によって生じる悪影響から生活を守る対策が必要です。例えば、建物の温度上昇を抑えるグリーンカーテンを育てたり、熱中症警戒アラートなど、暑さ指数に基づいた行動を意識するなどの対策があります。
地球温暖化は「国際的な人権問題」ともいわれています。先進国のかつての行いが途上国の今の環境に、過去や現代の人々の行いが未来を担う人々の環境に被害を与えてしまうと考えられるからです。温暖化による負の影響が明らかとなり、世界や企業の多くがCO2の削減へ大きく動き出しました。この地球規模の問題に対して、国や世界といった大きな規模でなければ何もできないと思わないでください。これまで省エネやエコといわれていたことの多くが、CO2の削減につながっています。私たち一人ひとりが環境問題について知り、自分事として捉え、これからどういった選択をしていくのかを考え続けることが大切ではないでしょうか。
埼玉県環境科学国際センターでは、地球環境について楽しく学ぶ体験をご用意しています。こどもと一緒に参加できる研究所公開などもありますので、ぜひご参加ください。
○環境科学国際センター
住所:上種足914
【電話】0480-73-8363
■一人ひとりにできることから ゼロカーボンアクション
私たちが使う電気の多くは火力発電でつくられ、その過程で多くのCO2が排出されています。そのため、CO2の排出を減らすためには、生活の中で省エネ・エコを意識することも有効です。
・使わない家電製品のプラグはコンセントから抜く
炊飯器や電気ポットの保温機能の使用を最低限にすることで、年間約4,000円の電気代の節約になるといわれています。
・冷蔵庫の庫内温度設定を「中」にする
・エアコンのフィルターを掃除し、適切な温度設定にする
夏の室温の目安は28度
・住宅に再生可能エネルギー設備を設置する
市では、個人住宅への太陽光発電システムなどの設置費を補助しています。
・家電を買い替えるときは「省エネ家電」を選ぶ
・「ごみ」を分別し、リサイクルする
・食べ残しをしない
市では、家庭から出る生ごみをリサイクルする生ごみ処理容器の購入費を補助しています。
・エコバック、マイボトルなどを持ち歩く
・シャワーを使う時間を1分短くする
水道の使用にも電力が使われています。家族4人が1分ずつシャワーの時間を短くすることで、浴槽約1杯分の節水と省エネができます。
・地元の旬の食材を選ぶ
生産や輸送のために排出されるCO2を減らせます。
・二重窓などを取り入れた断熱性の高い住宅に暮らす
・外出には、電車やバス、自転車を利用する
家庭によるCO2 排出量の4分の1は自動車からといわれています。電気自動車など、CO2 排出量が少ないものを利用しましょう。
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