大宮台地の北部に位置する北本市は、とても遺跡の多いまち。人々は旧石器時代からこの地に暮らし、縄文時代には各所でムラが営まれました。中でもデーノタメ遺跡は全国に知られた縄文時代の遺跡です。最終回となる今回は、デーノタメ遺跡を覆う森で始まる市民活動の様子をお届けします。
■縄文とオオタカの森
デーノタメ遺跡の大半は、以前から深い森に覆われています。この森は雑木林とスギ林、屋敷林や竹林などで構成され、市内で最も広い平地林です。
平成13年の初春、この森の一角でオオタカの繁殖が確認されると、その後はオオタカを保護するために、長い間、人が森に立ち入れない状況が続いていました。
本来、里山の森は人の管理によって自然とのバランスを保っていますが、放置された森は、ササや常緑樹が茂り、人の侵入をはばむ藪(やぶ)となって荒れていきます。
■動き出した市民活動
こうした中、一昨年の秋から市民の皆さんによるデーノタメの森の整備が始まりました。デーノタメの森での活動は、オオタカの非繁殖期である9月~12月に限られます。市民グループ「北本雑木林の会」、「デーノタメ縄文の杜(もり)プロジェクト」のメンバーが中心となり、倒木や枯れ枝を片付け、アズマネザサなどの下草を刈り、落ち葉をヤマカリカゴに詰めて堆肥箱へと運びます。体力を使う作業ですが、きれいになっていく森に、参加者も満足そうな表情です。
■クルミとシイの実を食べる
この市民グループでは、「縄文の食」をもう一つの活動テーマにしています。これまでに、オニグルミを石で割ってみたり、マテバシイのパンを焼いてみたりという体験をしました。
今後も、クリやトチノキ、マメ類などを採集し、子どもたちと縄文人のくらしを体験していく予定とのことです。
縄文人が利用した植物資源の情報の豊富さは、デーノタメ遺跡の特色です。デーノタメの森が、これからも市民の様々な文化活動でにぎわっていくことを願っています。
※森の整備の様子や市民グループのインタビューを、広報きたもと令和5年12月号特集「デーノタメ遺跡は今」で紹介しています。ぜひご覧ください。
問合せ:文化財保護課
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