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〔特集〕地域医療の今ー北里柴三郎の新紙幣採用に寄せてー(2)

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埼玉県北本市 クリエイティブ・コモンズ

■対談「よりよい『地域医療』をめざして」
北本市長 三宮幸雄 × 北里大学メディカルセンター病院長 佐藤之俊
実学の精神を唱えた近代日本医学の父とも言われる、北里柴三郎氏の考えを実践し、地域医療に取り組む北里大学メディカルセンターの佐藤病院長を迎え、地域医療の取組みと、今後の展望について語り合いました。
(本対談は3月26日に行われたものです。)

佐藤病院長『市と連携し、患者さんのサポート体制を整えていく』
北本市長『医療の充実が市民の「安心」の大きな要素』

三宮市長:はじめに、破傷風血清療法の確立、ペスト菌の発見のほか、伝染病研究所「北里研究所」を創立し、後進の育成に尽力した北里柴三郎氏が新千円札の肖像画に選ばれましたこと、誠におめでとうございます。
また、日頃より地域のためにご尽力していただいていることに大変感謝しています。北本市としても、市制施行50周年を迎え、新たな持続可能なまちづくりとして、皆さんのお力をまちの未来につなげていきたいと思っています。
佐藤病院長:こちらこそ、日頃よりご支援いただいており、ありがとうございます。

◇北本市の二次救急医療機関として
三宮市長:まずは、貴院の担う二次救急医療機関の役割について、お話を伺っていきたいと思います。
北里大学の学祖である北里柴三郎氏は、予防医学から臨床医学までの一貫した医学的方針の実践を目指したと聞いております。
北里大学メディカルセンターでは、この北里柴三郎氏のお考えを基に、高度で良質、そして安全な医療の提供や他の医療施設と連携し、地域医療の中核としてご尽力いただいていると伺っております。
佐藤病院長:まさしく、北里柴三郎先生の「実学の精神」を患者さんに還元しなければならない、という強い意思をもって進めています。
地域医療を考える上で、まず、救急医療に対応していく必要があります。当院は二次救急を担う病院であり、入院や手術を要する患者を365日24時間体制で受け入れています。
三次救急のような高度な医療は提供できませんが、軽症の救急対応に加え、多少重症化した患者をサポートしていくことが重要と考えています。
三宮市長:365日24時間体制で受け入れられるような救急医療の体制は、どのように構築されているのでしょうか。
佐藤病院長:以前は院内の救命救急センターに2名の医師を配属していましたが、彼らが退職してからは他所属の医師たちが一般の診療の合間に救急対応を行っていました。令和5年度に救急救命医を新たに採用したことで、救急医療体制の再スタートを遂げることができました。
救急患者の受入件数についても、令和4年度は約3000件でしたが、令和5年度は約4000件に増加しています。これからも地域の二次救急を担う病院として、スタッフの充実を図り、救急医療体制を整備していきたいと考えております。また、地域の皆様のサポートも大きな要素となりますので、どうぞよろしくお願いします。
三宮市長:年間4000件を超える救急車の受け入れに、大変感謝しています。北本市では救急搬送時間にかかる時間が近隣に比べ短いというデータもあります。これも貴院のご尽力によるところが大きいものです。
佐藤病院長:ありがとうございます。当院では、「断らない救急」を大きなテーマとして取り組んでおります。色々とご指導いただきながら、進めていきたいと思います。
三宮市長:現在のような救急体制を今後も維持していくにあたって、課題などはありますでしょうか。
佐藤病院長:救急外来の対応にあたっては、医師のみではなく、コ・メディカル(看護師や救急救命士、事務員など)を含め、一つのチームとして対応しています。救急医療として必要な体制ですが、受け入れ人数に限りがあるのも事実です。住民の皆様には、適正な救急車、救急外来の利用をお願いしたいです。
救急医療を必要とするときに、受診方法を考えることは難しいですから、どのような状況のとき、どのように救急外来を受診したらよいかを普段からかかりつけの医師と相談しておくこと、救急医療に興味を持っていただくことが必要です。
このように、住民の皆様に意識を高めていただくことで、より一層、必要な時、必要な人にスムーズに医療が提供できるのではないかと思っています。
また、設備面では救急搬送後に患者さんを他の病院に移送する場合や、災害現場で活動する専門医療チームであるDMAT(ディーマット)が災害救助に行く場合に使用する当院の救急車の老朽化が課題となっています。クラウドファンディングを活用したリニューアルの事例も聞いていますので、参考に対応していきたいと思います。

《北里大学メディカルセンター》
○沿革
北里大学メディカルセンターは、北里柴三郎が創立した北里研究所を祖とする、学校法人北里研究所が運営する病院。研究所顧問・大村智博士の提案により、地域医療の中核および地域文化の発信基地として、平成元年4月に開院。

○規模
許可病床372床(一般)、28診療科を持つ、北本市内最大規模の病院。

○診療形態
一般診療のほか、かかりつけ医から入院や精密検査・専門治療が必要と判断された紹介患者に必要な診療を行う「病診連携」の体制を取っている。
救急医療や放射線治療のほか、CTやMRIなどの高度な検査機能を持つ。

病診連携…よりよい医療を提供するため、病院と診療所が役割を分担し、患者を紹介し合う体制。かかりつけ医から大病院への「紹介」の他、病院を退院する患者に自宅近くの診療所を紹介する「逆紹介」なども行う。

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