文字サイズ
自治体の皆さまへ

〔特集〕地域医療の今ー北里柴三郎の新紙幣採用に寄せてー(3)

3/46

埼玉県北本市 クリエイティブ・コモンズ

◇使命感を持って地域の「災害医療」を担う
三宮市長:貴院には、災害拠点病院として災害時の初期救急体制の充実強化の要としてもご活躍いただいております。災害が多い昨今、災害時の医療体制や地域との連携に関する取組みがあればお聞かせください。
佐藤病院長:災害拠点病院に求められる主な医療機能には、災害時の怪我人への対応や、病気が重症化するリスクのある患者さんの多数受け入れ、重症患者の移送などがあります。
これらに加え、災害派遣としてDMATの派遣などの機能を備えることも、重要な役割です。
今述べたとおり、災害拠点病院は、自院の病院機能を維持しながら、外部の状況にも対応するという多岐にわたる機能を求められます。災害時の対応にも万全を期すため、日頃からトレーニングの実施やマニュアルの改訂などを行い、整備を進めています。最近ですと、大規模災害時に多数傷病者の受け入れが必要となった場合の対応方法を検討するため、令和5年度から消防の方々にも加わっていただき、より実際の災害時の連携などを意識した対応フローの検討を重ねています。
このように、当院では随時災害対策マニュアルのリニューアルを行い、さらにコロナ禍で全国の病院でもなかなかできていない「多数傷病者受け入れ訓練」を実施するなど、病院全体で災害医療体制の整備を行っています。また、訓練においては当院だけではなく、県などの行政や消防と合同で行い、災害時の連携を図ることも重視しています。今後は自衛隊とも協力し、さらに災害拠点病院としての機能充実を図っていく予定ですので、ご協力をお願いします。
三宮市長:災害対応への使命感ある取組みに感銘を受けます。市としてもぜひ協力体制を築いていきたいと考えます。
貴院には、1月に発生した能登半島地震の際にも、いち早くDMATを派遣していただきましたが、実際のお話をぜひお聞きかせください。派遣のスケジュール等はどうだったのでしょうか。
佐藤病院長:能登半島地震の際は、1月10日に県からDMAT派遣要請が届き、1月11日に出発しました。チームは医師1人、看護師2人、事務1人、栄養士1人の計5人により構成されており、1週間程活動しました。同時期に看護協会から災害支援ナースの派遣依頼があったため、こちらへも看護師1人を派遣しました。
三宮市長:被災地派遣においては、派遣者へのメンタルケアも重要と言われます。当市からも被災地への職員派遣を行いましたので、派遣後の職員のメンタルヘルスには特に配慮しました。貴院ではいかがでしたでしょうか。
佐藤病院長:私がメンタルケアの重要性を感じたのは、東日本大震災の時です。当時、私は相模原の大学病院に勤務しておりましたが、被災地に派遣されたDMATが病院へ帰ってきた際、精神的に疲労しているのを感じました。
今回の派遣に際しては、最初から精神面のサポートをするため、必ず毎日DMATからの状況報告を受けることとし、同時に精神科医にもメール等でチームの状況を確認してもらう体制をとりました。また、帰還後には個別に面接を実施し、本人たちに色々なことを語ってもらう場を設けました。こうしたサポートが功を奏してか、幸い災害支援にあたったDMATチームが精神面で体調を崩すことはなかったようです。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU