■国の文化審議会が文科相へ答申
6月24日、国の文化審議会はデーノタメ遺跡を国指定史跡に指定するよう文部科学大臣に意見を述べました(=答申)。今秋の告示で正式に国指定となる見込みです。
◇北本に102年ぶり 新たな国の宝誕生へ
国の文化審議会は、6月24日に開催された文化審議会において、デーノタメ遺跡を国指定史跡に指定するよう文部科学大臣に答申しました。
この答申を踏まえ、秋頃予定の文部科学省による官報告示をもって、正式に国指定史跡に指定されることになります。
国指定史跡とは、文化財保護法に基づく指定を受けた遺跡を指し、「我が国の歴史の正しい理解のために欠くことができず、かつ、その遺跡の規模、遺構、出土遺物等において、学術上価値のあるもの」とされています。今回の答申により、デーノタメ遺跡にはその価値があることが正式に示されました。
デーノタメ遺跡が国指定となると、埼玉県で26件目の史跡となります。北本市においては初の史跡指定となり、文化財全体でも大正11年(1922年)に「石戸蒲ザクラ」が天然記念物の指定を受けて以来、実に102年振りのことです。
◇縄文人のくらしが良くわかる遺跡と評価
デーノタメ遺跡は、縄文時代中期から後期の1200年以上にわたって営まれた大規模集落跡です。
中期のムラは環状集落と呼ばれ、長径210m、短径160mと大規模で、「関東最大級」の大きさを誇っています。
デーノタメ遺跡の最大の特徴は台地の下に水場を伴うことで、通常では腐ってしまう植物の種や実、昆虫の羽、漆塗土器などが大量に出土しました。
当時の人々の生活や植物の利用の実態のほか、縄文時代中期から後期にかけての環境変化と、それに適応した人々のくらしを知ることができる重要な遺跡として評価されています。
■これまで史跡化を応援してきた皆さんの声
◇発掘作業員 松木仁見さん
「皆が楽しめる場所になるのが楽しみ」
長いこと見守ってきた遺跡が、ついに指定されると思うと感慨深いです。最初の調査に参加したメンバーのうち、私ともう一人が今も作業員として調査に参加しています。第1次発掘調査が2001年ですから、もう23年も前になりますね。
私は特別「歴史好き」というわけではなかったのですが、実際に土器を土の中から掘り出したときは、すごくワクワクしたし、感動しました。自分たちが堀った遺跡のことをもっと知りたくて、作業員の皆でデーノタメの展示やシンポジウムも見に行きました。
この遺跡が各地の史跡のように整備されて、皆さんが楽しめる場所になるのが今から楽しみです。
◇文化財保護審議員 松本富雄さん
「祝!教科書の記述を変えた遺跡が国指定に」
かつて、小学校の教科書で縄文時代は「狩猟・採集」の時代とされていましたが、今の教科書には「狩猟・採集・栽培」と『栽培』の2文字が増えています。この記載の根拠になった遺跡の調査成果として、青森県「三内丸山遺跡」や「デーノタメ遺跡」等があげられます。デーノタメ遺跡から発見された、栽培の可能性のあるダイズの土器圧痕や、栽培管理が必要な漆を使った大量の漆塗土器が、縄文人の栽培の理解につながりました。
教科書の記述まで変えたデーノタメ遺跡の国史跡化は、北本市の大きな財産であり、誇りです。
土地所有者や地元の皆さんのご理解・ご協力なくしては国指定には至りませんでした。皆さんのご協力に感謝し、市にはぜひ、史跡や学習の場の整備を願いたいです。
■広報きたもと「号外」を配布!
文化審議会の答申を受けたことをいち早くお知らせするため、「号外」を作成し、6月25日の朝に北本駅前で配布を行いました。当日お受け取りいただいた皆さん、ありがとうございました!
※配布した号外の内容は、市ホームページからご覧いただけます。
■デーノタメ遺跡のこれから
・文部科学大臣への意見具申
・国の文化審議会の答申〔←今ここ〕
・国指定史跡の告示(=国指定)
・史跡指定範囲の測量
・「デーノタメ遺跡保存活用計画」の策定
・公有地化の開始
・史跡公園等の整備
■“北本縄文人”の活動を追う
市民活動グループ「デーノタメ縄文の杜(もり)プロジェクト」早野圭一さん
僕たち「デーノタメ縄文の杜プロジェクト」は、かつてこの遺跡で縄文人が暮らしていた森の復元をめざしつつ、土器づくりや食、衣服など、縄文の生活を疑似体験するワークショップを行っています。現代は様々な情報が簡単に手に入りますが、プロジェクトでは情報にとらわれすぎず、「楽しみながら実際にやってみる!」ことを大事に、五感で縄文を体験することを目指しています。もちろん、お子さんも参加できますので【E-mail】denotamejyomon@gmail.comまで、お気軽にご連絡ください。COME ON 北本縄文人!
問合せ:文化財保護課
【電話】594-5566
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