町立図書館は宮代町の中で本、音楽、美術、映画など知識を与え、文化を発信する拠点施設であり続けました。開館から30年、館内での図書貸し出しだけでなく、小中学校図書室での支援事業など、図書館の活動は建物の外にも根づいています。
~小学校1年生に本を紹介~
■町内全小学校で「らんどせるブック事業」
町立図書館は週1回、全小中学校の図書室に図書館司書を派遣して運営を支援しています。その中で、年度はじめに小学校1年生を対象に実施しているのが「みやしろ らんどせるブック事業」。入学したばかりの1年生に本の面白さを知ってもらうことを目的にしています。
この日は図書館司書の菅田さんが東小学校1年生に用意してきた15冊を紹介。希望する1冊が後日、子どもたちにプレゼントされます。
『ある日、おなかのすいた猫が、ねずみの国を探しにでかけました。そこでちっちゃなハリネズミに会って…』
と本のさわりを紹介すると、子どもたちの間から「最後まで話して!」「そしてどうなったの!?」という声があがります。15冊を紹介し終わるころには、子どもたちは、はやく本を読んでみたい、という気持ちでいっぱいになっています。
■学校の図書室で本を借りよう
「それでは、好きな本を借りてください」この日、本の借り方、返し方を教えてもらっている子どもたちは、本棚が並んだ隣の部屋に一斉に向かいます。「ここにはこんな本があるよ」と子どもたちを案内するのは図書ボランティア。地域の皆さん、保護者の皆さんからなる応援団です。「どんな本が読みたいの?」「こんな本もあるよ」と子どもたちをサポートします。
ほぼ全員が、その場で借りた本をすぐに読みはじめます。「おうちに帰って読んでもいいのよ」と言っても、「もう読んじゃったよ!」と元気な声。菅田さんは「子どもたちが最初に出会う本はとても大事、いい本を紹介していきたい」と目を細めます。
~中学生の調べ学習をサポート~
■調べる前に必要なことは…
町立図書館は前原中学校1年生の総合的な学習の時間に、興味のあることを掘り下げて調べる方法を学ぶワークショップを開催しています。講師は、町立図書館司書の久森さん。「どうして調べたいと思ったのか、その動機が大事」という説明に、生徒たちはノートを取ります。「調べたらすぐに分かってしまうテーマではいい調べにはならない」「テーマが大きすぎたり、ばくぜんとしすぎても良くない」など、具体的に説明していきます。
興味を持てるテーマが決まったら、そこから関心を広げていき、図書やインターネットなどを使って調べを掘り下げていく方法について話しました。
今後、生徒たちはグループに分かれて、各自のテーマを調べ、最後は学年発表会を行います。久森さんは「毎週水曜日には図書室にいるので、調べるのに困ったり、どんな本を使ったらいいのか迷ったら、ぜひ相談に来てほしい」と話しかけました。
■ボランティア団体「みどりのたね」の活躍
前原中学校ではボランティアグループ「みどりのたね」が町立図書館といっしょに図書室の運営を支援します。「みどりのたね」は百間小学校、前原中学校で図書室の運営や「読み聞かせボランティア」として活動中です。教室に出向いて本を紹介するブックトーク活動も続けています。「中学生向けに選んだ本を生徒たちに紹介するんですよ」と「みどりのたね」代表の国川さん。
前原中学校の図書室は書店のようなディスプレイ。本に囲まれてとても居心地の良い空間です。久森さんと国川さんの連携のたまものなのだと、合点がいきました。
~図書館のあゆみとともに~
■名作を朗読で紹介
開館して30年、町立図書館はたくさんのボランティアに支えられてきました。その一つ「みやしろ朗読の会」は図書館ができる前から活動している活動歴の長い団体です。この日は町立図書館ホールで定例の「朗読会」を開催しました。朗読されたのは井伏鱒二の短編小説、金子みすずの詩など6作品。聞いていると、引き込まれ、時間があっという間に過ぎてしまいます。
客席で聞いていた男性は「この催しが好きで毎回聞きに来ています。目で活字を追うのでなく、耳から入ってくるのもいいですね」と話します。朗読会場の外には、この日朗読された本が展示されました。本を手にしながら、「朗読を聞いて作品に興味がわいたので、本を借りたくなった」と話す来場者の姿が印象的でした。
今年は7月、8月に戦争下に生きる一家を小さな子どもの視点から描いた絵本「ちいちゃんのかげおくり」ほかを朗読します(本紙9ページに関連記事)。多くの人に本の内容が伝わり、戦争と平和を考えるきっかけになるのは、とても素晴らしいことです。
町立図書館は開館以来、たくさんのボランティアと連携し本の魅力を伝える活動を行ってきました。すべての人に使いやすい、知の拠点施設として、町立図書館はこれからも頼もしい存在です。
■図書館協議会
図書館協議会は図書館の専門家やボランティア団体、公募委員、学校、社会教育関係団体などで組織、その時々の時代のニーズにあった図書館の運営に幅広い意見を提案しています。
◆ボランティアメンバー募集
問い合わせは図書館まで
◇宮代おはなしの会スウス
素話(ストーリーテリング)に興味がある方、昔話が好きな方、一緒に活動してみませんか。初心者の方も大歓迎!
◇宮代16ミリクラブ
毎月おこなう子ども映画会の上映をお手伝いしてくださる方を募集しています。16ミリ映写資格の有無は問いません。映画の好きな方ならどなたでも。
ここで紹介した「みやしろ朗読の会」以外にも、町立図書館ではたくさんのボランティア団体が活躍しています。
・みやしろ童話と絵本の会
・人形げき団みやしろ
・宮代おはなしの会スウス
・宮代16ミリクラブ
・すいようえほんの会
・ブックスタートボランティア
・図書館お助け隊
問合せ:宮代町立図書館
【電話】34・9944
<この記事についてアンケートにご協力ください。>