各隊員の活動を詳しくお伝えする地域おこし協力隊通信。第10回は等々力政彦さんの活動を紹介します。
等々力政彦と申します。音楽演奏家としての活動が長い、工学博士(生物工学)です。埼玉県立自然の博物館より、小鹿野町の地域おこし協力隊に移って2年目となりました。京都大学東南アジア地域研究研究所の研究員を兼任しております。
自然に対する興味は、小学校中学年から続く山登りに端を発しています。特に、生物や地質・地形に興味があります。博物館の任期を終えてからも秩父地域に残った理由は、山の自然に対する興味からで、秩父の自然が面白いからにほかなりません。
小鹿野町では、おがの化石館のリニューアルへの取組と、秩父地域で活用されていない植物の商品化に取り組んでいます。それらを通じて、新しい観光客を小鹿野にお迎えするべく活動中です。
◆おがの化石館関連
小鹿野をはじめとする秩父地域は、新第三紀中新世の海の堆積物が広く分布しています。おがの化石館は、大きな施設ではありません。そこで、思い切って中新世だけに特化して、できるだけこれまでの展示物を残し、細心の地質学データを取り込みつつ、シンプルでわかりやすい展示に替えていかなければならないと考えています。あまり知られていませんが、中新世は現在の日本列島の骨格ができた、日本の地質史の中ではとても重要な時代なのです。明治以降の近現代日本を第四紀と考えると、中新世は江戸時代に相当すると考えています。そこで、来月からの広報において小鹿野町の中新世について、シリーズでできるだけわかりやすく解説していこうと考えています。
これまでの任期中に参考のために訪れた場所は、秋田県「マタギ資料館」、栃木県「木の葉化石館」、長野県「四賀化石館」、大阪府「自然史博物館」、福井県「年縞博物館」があります。これらは、それぞれ参考になるアイデアなどを提供してくれましたが、とりわけ「年縞博物館」は、1)テーマがハッキリしている、2)展示がスタイリッシュ、3)無駄がなく、展示が最小限といった点で、群を抜いて興味深い博物館でした。ただ規模が大きい施設なので、その点に関しては「おがの化石館」の参考にはなりません。一方「マタギ資料館」は、1)テーマがハッキリしており、2)展示解説もわかりやすく、小さな資料館でもここまでできるというポテンシャルを感じました。
◆新規植物の商品化
秩父地域には、まだ商品化されておらず、今後商品価値が高まると考えられる自生植物がたくさんあります。そういった中から、主に香りに特化した植物(部位)に的を絞って開発に取り組んでいます。また、毘沙門水のご協力で、小鹿野に自生しているワサビを展示させていただいています。秩父地域のワサビは、日本海側に生育するワサビの品種群と太平洋側に生育するワサビの品種群の中間に存在しており、今後特徴的な形質が見つかる可能性を秘めています。
◆新規の観光客の開拓に向けて
秩父の観光ターゲットは、ともすれば東京に向きがちです。そこでこれまであまり日本が着目してこなかったイスラーム圏の富裕層に向けたパッケージングを考えるため、自腹でサウジアラビアを視察してまいりました。これらの情報は、いずれ小鹿野町のために使っていく予定です。
■新しく着任する地域おこし協力隊員を紹介します(空き家対策事業)
平野敏満(ひらのとしみつ)隊員 まちづくり観光課内移住定住推進室
着任日:令和6年2月1日
◇隊員の業務
・空き家の調査、掘り起こし
・空き家所有者及び利活用希望者からの相談受付、対応
・空き家等を利活用する事業の立案、実施
※空き家の調査を行う際には、必ず身分証明書を保持しています。
◎私は、以前から空き家問題には関心を持っていました。私の協力隊員としての仕事は、空き家を利活用できるよう、その前提となる建物の保存及び安全を確保しながら権利関係等を明らかにして、これらを流通に乗せる基礎作りをすることと考えています。よろしくお願いします。
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