自転車は気軽に利用できる便利な乗り物です。しかし、ルールを守らないと重大な事故につながります。ここでは、市の自転車事故の現状や守るべき基本ルール、改正された道路交通法の要点などを紹介します。
■高低差が少ない蕨では高い自転車事故発生率
8月末時点での、市内で発生した今年の人身事故発生数は81件。そのうち自転車事故は35件で、全体の43・2%に上ります(下グラフ)。
[市内の交通事故の内訳]令和6年(1月~8月)
これは県全体と比べ、約19ポイント高い数字です。要因としては、蕨市は都市部に位置し、高低差が少なく、自転車を利用する人が多いことが挙げられます。市はこの傾向を踏まえて、引き続き関係機関の皆さんと啓発活動などに取り組んでいきますが、たいせつなのは市民の皆さん一人ひとりが交通ルールを守り、悲惨な事故を1件でも多く減らしていくという意識を持つことです。
■ルールを守って安全に「自転車安全利用五則」
自転車は道路交通法では、軽車両に分類され、車と同様に守らなければならないルールがあります。その基本となるのが「自転車安全利用五則」。自転車は原則、車道の左側を通行してください。危険を回避するために、やむを得ず歩道を通行する場合は、車道寄りをすぐに止まれる速度で徐行し、歩行者の通行を妨げないように配慮が必要です。また、交差点では、信号や一時停止を守って周囲の安全確認をするほか、夜間のライト点灯、飲酒運転の禁止、ヘルメットの着用など、基本ルールを遵守しましょう。
■自転車安全利用五則
(1)車道が原則、左側を通行歩道は例外、歩行者を優先
(2)交差点では信号と一時停止を守って、安全確認
(3)夜間はライトを点灯
(4)飲酒運転は禁止
(5)ヘルメットを着用
■法律の改正で今月から危険運転に新たな罰則
こうした基本ルールを徹底するため、道路交通法が改正され、今月から自転車の危険運転(ながら運転、酒気帯び運転およびほう助)に新しく罰則が整備されました。更に、これらの危険運転や信号無視、指定場所一時不停止などの行為を繰り返し行った人は、自転車運転者講習制度の対象となります(詳細下記)。
■教室の実施や見守りでより安全なまちづくり
市ではこのようななか、自転車の安全利用促進を目的に、さまざまな取り組みを実施。先月11日には、東中学校でスケアード・ストレイト交通安全教室(関連本紙10ページ)を開催したほか、自転車運転免許講習会の開催、町会や警察と連携したパトロールの実施など、継続的な取り組みを進めています。また、昨年4月から着用が努力義務となったヘルメットの購入費補助(詳細下記)も受付中。今後も市では、市民の皆さんや関係機関と連携し、安全なまちづくりを目指していきます。
■Interview
○ルールを守って思いやり運転で
蕨警察署交通課
舩津 宗和(ふなつ むねかず)課長
今回の道路交通法改正は、最近の自転車による交通事故の増加や、それに対する国民の安全意識の高まりが影響しているものと考えます。自転車は手軽で健康によく、環境にも優しい乗り物である反面、ルールを守らなければ非常に危険であり、重大な人身交通事故が毎年発生しています。自転車を安全で快適に利用するためにも、「自転車安全利用五則」をしっかり守り、マナーと思いやりを持って運転しましょう。
■今月から新しく罰則が整備
○運転中における携帯電話使用等(いわゆる「ながら運転」)
スマートフォン等を手で保持して、自転車に乗りながら通話する行為、画面を注視する行為が新たに禁止され、罰則の対象になりました(停止中の操作は対象外)。
違反者:6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
交通の危険を生じさせた場合:1年以下の懲役または30万円以下の罰金
○酒気帯び運転およびほう助(手助け)
自転車の酒気帯び運転違反者のほか、同乗者、自転車や酒類の提供者に対して、新たに罰則が整備されました。
違反者:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
自転車の提供者:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
自転車の同乗者・酒類の提供者:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
自転車運転中の携帯電話使用等、酒気帯び運転等は、自転車運転者講習制度(詳細下記)の対象にもなります。
■自転車運転者講習制度
自転車の運転に関し、交通の危険を生じさせるおそれのある一定の違反(危険行為)を繰り返し行った人は、講習制度の対象となります。
危険行為:信号無視、指定場所一時不停止、遮断踏切立入り、安全運転義務違反、通行区分違反など
受講命令違反:5万円以下の罰金
■ヘルメット購入費補助
補助額:購入費用の2分の1(上限2,000円で100円未満は切り捨て)
※1人1回まで。
対象:市内に住所があり、市税及び国民健康保険税の完納者
申し込み:窓口による申請または申請書等の必要書類を郵送で
安全安心課
中央5-14-15
【電話】430・7834
※申請書は市ホームページからもダウンロード可。購入から1年以内に申請してください。
県内の自転車事故で亡くなった人は、半数以上が頭部に致命傷を負っています。万が一の際の被害を軽減するため、ヘルメットを着用しましょう。
問合せ:安全安心課
【電話】430・7834
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