■足は健康のもと
埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科 助教 清水新悟(しみずしんご)
足は、第2の心臓と言われています。その理由をご存じでしょうか。
足の中でも大事な筋肉の一つが、ふくらはぎの筋肉です。専門用語では下腿三頭筋と言います。ふくらはぎの筋肉は、「足先を下に向かって動かす動き」と「膝を曲げる動き」の二つの作用があります。日常生活でもよく使用される姿勢を保持するために働く筋肉の一つです。この筋肉の作用は、下にたまっている血液を上に促す還流の役割があります。この血液を上に流すことで血液循環をよくしています。立っていると足がむくんだりするのは、ふくらはぎの筋肉の筋収縮が低下し、血液が足に停滞するからです。よく耳にするエコノミークラス症候群は、長時間の電車や飛行機に乗って足を動かさないでいると、血液が足に停滞することで血液の塊である血栓ができ、動いた際に一気に血液が流れ、動脈に血栓が詰まって起こります。エコノミークラス症候群の予防としてもふくらはぎの筋肉の筋収縮が重要です。この筋肉による血液循環を促すポンプ作用は、心臓と似た作用であるため、足は第2の心臓と言われています。
また、ふくらはぎの筋肉の筋力低下は、歩行時のつまずきにも影響します。歩行時につま先で床を蹴る動作にはふくらはぎの筋肉が主に働きます。床をしっかりと蹴ることで足が上がりますが、床を蹴れないと足は上がらず、つまずいて転倒となるのです。
さて、ふくらはぎの筋肉が、いかに大事かとご理解できたでしょうか。これからは、ふくらはぎの筋力が低下しないように、いすに座った状態で、つま先立ちを毎日50回行いましょう。正常では、片足立位にて、何かつかまって、つま先立ちを連続して25回行えないといけないと言われています。足首に痛みのある方やバランスに不安のある方は無理をせず、一度、何回できるか試してください。
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