■プロジェクト「石坂の森」 持続可能な里山への挑戦
◆里山とは?
辞書を引くと「里山」とは、「人里近くにあって、その土地に住んでいる人と暮らしに結びついている山・山林」とあります。
昔は、薪や山菜の採取、落ち葉などを堆肥にするなど、燃料、肥料、食料などを得るため、適度な人間の干渉と管理により、動植物が増え、豊かな生態系を保持し、生物多様性を保全する場になっていました。里山は、長い時間をかけて人々が自然と寄り添いながら作り上げてきたものでした。
しかし、戦後の高度経済成長とともに、薪や炭などが燃料として使われることが少なくなるなど、産業構造や生活様式などが急激に変化したこともあり、里山の自然資源を循環する必要が少なくなり、里山を管理する人も減ってしまいました。
このため、鳩山町に限らず里山の環境を維持していくこと自体が難しくなってきています。
今回の特集では、里山の恵みを次の世代に伝えるため、「石坂の森」を中心に、持続可能な里山について考えていきます。
◆石坂の森とは?
私たちが暮らす鳩山町は、首都圏50キロ圏内にありながら、豊かな自然にあふれる町です。
町では、令和5年度に転入者119人に対して転入先を決める際の決め手になった理由をお聞きしました。このうち約4人に1人(29人)が「鳩山町の自然が豊かなところ」と答えており、転入理由のトップ3に入っています。
自然といえば、町内には、人気の散策スポットとして、町の北東に位置する里山である「石坂の森」があります。コナラやクヌギ、ヤマザクラを優占とする約40ヘクタールの森林地帯となっており、現在、町内外からたくさんの方が散策に来ており、隠れた人気スポットになっています。
しかし、平成15年頃は、木が生い茂り、公道や林道を覆い、歩行も困難な状態でした。
平成16年3月に、日本新都市開発株式会社の特別清算に伴い、山村学園短期大学西側の約40ヘクタールの森林を町で取得しました。町有林(一部民地あり)となったことで、町では大切な地域資源の里山として保全し、活用することを検討してきました。
このような中、「NPO法人里山環境プロジェクト・はとやま」が平成17年に設立され、町からの業務委託を受け、石坂の森の保全・管理を行ってきました。主な活動は、森林内の下刈りや散策道の整備、希少動植物の保護、獣害対策を実施しています。
身近にある素晴らしい自然を知って、触れて、楽しんで欲しい、そんな思いで活動しています。
さらに、町では平成18年度から埼玉県の補助制度なども活用し、自然環境を活かした活動広場や遊歩道、駐車場、案内板などを整備しました。
緑に囲まれた私たちの町には、希少な動植物がたくさんいて、豊かな生態系に恵まれています。この自然は、次代に引き継ぐべき大切な財産です。この里山を守り続けているNPO法人里山環境プロジェクト・はとやまの皆さんにお話をお聞きしました。
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