■認知症になっても自分らしく生きられるまちへ
身近な人が認知症になったとき、あなたはどんな支援や相談機関があるか知っていますか。住み慣れたまちで安心して暮らしていくためには、地域の理解や支援が必要です。認知症の方やその家族に日々寄り添い、認知症に関する相談を受け付けている専門家にお話を伺いました。
・井藤陽介氏
介護老人福祉施設鳩山松寿園東館職員。認知症介護指導者の資格を持ち、日々のサポートを行っている。
・篠田哲朗氏
介護老人福祉施設鳩山松寿園東館施設長。
◆関係機関と連携し、日々の見守りを
鳩山松寿園東館は介護老人福祉施設の中に、「認知症ケア相談室」を開設しています。普段は、役場長寿福祉課や町地域包括支援センター、町社会福祉協議会と連携し、一緒に相談を受け付け、アドバイスを行っています。
また、松寿園を利用しているご家族から困っている方がいる等の情報提供をいただく場合も多く、そういった方に相談窓口としてご利用いただいています。
相談に来る方は、認知症の方のご家族が多く、認知症についてよく理解できていない場合がほとんどです。まずは思っていること、何に困っていて、何に悩んでいて、何が理解できていないのかすべてお聞きして、順序立てて解決をしていきます。解決していく中で、徐々に認知症を理解していくことができます。必要に応じて認知症の方との面談も行い、適切な支援につなげています。
◆一緒に過ごしているからこそ気づかない認知症
認知症が重度になっても、習慣化されている日常は、普段通りに生活できる場合が多いです。一緒に暮らしている方がよく認知症であると気が付くのが遅れるのは、「いつも通りの生活ができているから、まだ大丈夫」と勘違いしてしまうためです。いつもと違うことをしたときに、正常な行動をとれるかどうかがとても重要になってきます。
早期発見をするためには、私たち自身が認知症を知り、意識することが大切です。日常生活を送っていく中で違和感を覚えたときに、早期治療につなげることができます。
◆私たちにご相談を
認知症の方と関わるときに大切なことは、気持ちを傷つけないようにすること。事実に反することを言っていても受け入れることが大切です。
鳩山町は、ご近所付き合いが希薄になっている現代でも、近所のことを気にしている方が多いように感じます。また、近所の見守りだけでなく、2612人の認知症サポーター、多くの相談窓口があります。認知症について、積極的に学び、理解しようとしてくれる方が大勢いらっしゃいます。地域の中に認知症というものが浸透してきているのかもしれません。もし、町中でパジャマのままスリッパを履いている方がいた時、勇気を出して声をかけてみてください。そこで会話が生まれ、さらに違和感に気づくことができるかもしれません。
認知症の方が住み慣れた場所で落ち着いて過ごせたり、ご家族の負担を少しでも軽くできるよう、最適な支援を提案できるよう努めています。最初はとても勇気がいるかもしれませんが、気楽にご相談ください。
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