周産期医療センター長兼産婦人科部長 松本 治伸
■子宮頸がん検診のすすめ
子宮頸がんは30代から40代の若い女性に多く見られ、幼いお子さんを持つ母親の生命を脅かす重大な病気であることから、欧米では「マザーキラー」と呼ばれることもあります。しかし、早期に発見すれば比較的負担の少ない治療で完治が可能なため、定期的な検診が強く勧められます。
子宮頸がんの主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)感染です。HPVは主に性交渉によって感染しますが、多くの場合は自然に排除されます。しかし、HPVにはリスクの高いタイプがあり、これが持続的に感染することで子宮頸がんに進行するリスクが高まります。予防にはHPVワクチンが非常に有効ですが、日本での接種率は先進国の中で最低レベルにとどまっています。そのため、現状では定期的な検診がより重要と考えられます。
子宮頸がん検診で行われる子宮頸部細胞診は、前がん状態や初期段階のがんを発見するのに非常に有効な検査方法です。この検査では、専用のブラシで子宮頸部から細胞を採取し、顕微鏡で異常がないか確認します。前処置が不要で、痛みも少なく、短時間で終了するため、気軽に受けることができます。
日本では、20歳以上の女性に対して2年ごとの子宮頸がん検診が推奨されています。これまでに一度も検診を受けたことがない方や、しばらく検診を受けていない方は、ぜひこの機会に受診してください。
また、検診で異常が指摘された場合は、速やかに医療機関を受診してください。
ご自身や大切な人を守るために、定期的な子宮頸がん検診を習慣にしましょう。
問合せ:中津市民病院
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