皆さんは「介護の仕事」と聞くと、どのようなことを思い浮かべますか。「きつくて大変そう」「資格がないと働けない」と思っている人も少なくないのではないでしょうか。介護の仕事は年齢に関係なく、長く活躍できる仕事です。
実際に介護の現場に行くと、利用者さんに寄り添う優しい職員の姿があります。今号は、介護の仕事の魅力について、現場で働く人の声を紹介します。
■ますます高まる介護需要
令和6年9月15日に総務省統計局は、日本の65歳以上の高齢者人口が占める割合(高齢化率)が、過去最高の29.3%であることを発表しました。また、市の推計によると、特に、介護需要に結びつきやすい85歳以上の人口は中期的には増加傾向で推移し、令和22(2040)年度に5,252人となり、認定率については、65歳以上の高齢者が減少していく中でも当面は増加傾向が継続し、令和22(2040)年度には22.5%となり、以降は減少に転じると見込まれています。
このような状況で、社会を支える介護従事者が慢性的に全国で不足し、さらに若年層の人口減少によって、今後、介護の担い手不足は、より深刻化するおそれがあります。
■介護は未経験でも挑戦でき、自分のライフスタイルに応じて働け、経験を積むことでスキルアップできる仕事です
日田市介護支援専門員協会の会長で、現在、ビハーラ豆田に勤務する松下さんが介護の魅力について思いを語ってくれました。
▽福祉の世界に進んだきっかけ
学生時代、両親の勧めがきっかけで福祉の世界に進み、思いのほか不安もなく介護の仕事に就きました。福祉系の専門学校を卒業していたので、多少の知識はあったのですが、実際に就職してから現場で学ぶことがほとんどでした。利用者さんと何の話をしたら良いのか、どう接したら良いのか戸惑いもありましたが、周囲の先輩方から助言をいただき、助けてもらったことを思い出します。
▽介護職(福祉)の仕事とは
「介護職(福祉)の仕事」とひとまとめに言っても、仕事の内容は非常に多様です。施設介護職員や訪問介護職員以外の仕事もあり、医療機関で働く介護職員や通所介護職員など多岐に渡ります。また、多様な選択肢から自分のライフスタイルに合った働き方を、柔軟に選択することができます。介護の仕事は、未経験でも無資格でも、挑戦できるのが魅力です。さらに、研修や仕事を通じて、専門性やマネジメント能力を高めることで、スキルアップの延長として介護福祉士や介護支援専門員と多様なキャリアパスを描くことができます。働き始めて26年になりますが、入職当時に比べて介護現場も多様化しており、ICT化や介護ロボットの普及で効率良く、介護者に負担が掛からない働きやすい環境が整えられています。資格取得時には助成金が使用できるので、経済的な負担も少なくなります。
▽「介護」を身近に
以前、身体が不自由になった祖父の入浴を自宅で手伝ったときに、家族からすごく感謝されたことがありました。当時は、何気なく手伝いをしただけなのですが、思い返せば介護職として培った知識や技術をもとに身近な人に活かせた瞬間だと思います。現在は認知症の理解の普及啓発として「劇団あやめ」の活動をしていますが、もっと介護や認知症のことを若い世代、特に子どもたちに興味を持ってほしいと思っています。「介護って何だろう」「認知症とはどんな病気なんだろう」と興味を持ち、家族間で話題となり、必然的に介護について考え、知る機会が増え、介護の業界に進んでくれる子どもたちが増えてくるとうれしいです。そして、子どもの将来の夢、なりたい職業ランキングで1位が「介護員」になることを期待します。
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