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人権コラム 心、豊かに

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大分県日田市

■「助けて」が届く社会
東日本大震災(2011年)の発生から約6年後に内閣府が実施した世論調査では、「避難生活の長期化によるストレスに伴ういさかいや虐待(61.4%)」、「学校、幼稚園等で嫌がらせやいじめを受ける(58.9%)」、「差別的な言動を受ける(40.2%)」、「職場で嫌がらせやいじめを受ける(29.6%)」などが、「被災者が受けていると思われる人権問題」として挙げられています。
国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)は、今年1月1日に発生した能登半島地震の発生後から24時間にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の交流サイトに「日本語で投稿された救助要請」を分析しました。その結果、投稿の約1割が「デマ(うそ)」であったことが判明したと発表しています。
2016年の熊本地震発生後の同じような救助要請では、投稿数573件のうち、デマがわずか1件であったことと比較すると、SNSを利用した妨害行為と人権侵害が急増していることが分かります。この状況の背景には、注目や関心が集まる投稿によって閲覧数を稼ぎ、自分自身の収入を増やすといった「アテンション・エコノミー(関心経済)」を優先する意識の広がりがあるようです。
地震や台風、大雨などの災害が全国各地で発生する中、SNSは貴重な情報発信の手段として活用が重要視されています。その上で、正確な情報を流すことは、迅速かつ効率的な救助活動につながります。
災害(非常)時は、誰もが自分のことで精一杯になり、不安に襲われます。他者の関心を引き、利益を追求するような行動は、本当に救助を必要とする人に対する支援が妨げられるなど、命に関わる問題を引き起こしてしまいます。
冒頭の東日本大震災後の調査では想定されなかった、「SNSを利用する人権侵害」を食い止め、「助けて」という声が、誰にも邪魔されず確実に届く社会を一刻も早く取り戻さなければなりません。

問合せ:人権啓発センター
【電話】22-8017(市役所別館1階)

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